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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■「やがてイスラム主義の国になるエジプト」だって。
の民主化を支持すると繰り返し表明し、そのたびに民衆運動は扇動されて大胆
になり、ムバラクが辞めるまで運動をやめないと断言した。軍部はそれに引き
ずられ、最初はムバラクに政治改革を約束させ、それでも米国に扇動された民
衆運動が納得しないので、最後には軍はムバラクを追い出した。ムバラクの追
放は米国の差し金なので、ムバラクは米国を非難したのだった。
▼米国の理想主義でアラブ親米諸国政府は存亡の危機に
イスラエルの議員はムバラクの愚痴の聞き役だったが、単なる聞き役ではな
く、米国の頓珍漢な理想主義に迷惑しているのはイスラエルも同じであり、イ
スラエルもムバラクと同じ気持ちのはずだ。イスラエルのネタニヤフ首相は、
エジプト革命について、79年のイラン革命のようにイスラム主義に席巻され
ていき、最後はイスラム同胞団が権力につくだろうと警告している。サウジア
ラビアやヨルダン、パレスチナ自治政府の権力者たちも、イスラエルやムバラ
クと同じ気持ちだろう。サウジ国王は「米政府は(民主化という理想主義にふ
けって)後のことを全く考えず、ムバラクの追放を支持しようとしている」と
再三にわたり、米国の戦略を批判していた。
http://www.theaustralian.com.au/news/world/back-off-hosni-mubarak-saudi-king-abdullah-warns-barack-obama/story-e6frg6so-1226003947985
Back off Hosni Mubarak, Saudi King Abdullah warns Barack Obama
サウジ政府は「米国がムバラク政権を見捨てても、サウジが金を出してムバ
ラク政権を助ける」とまで言っていたが、ムバラクの辞任が不可避になってき
た2月10日以降、態度を「ムバラク支持」から「中立」に転換し、ムバラク
辞任の巻き添えでサウジ王家のイメージが悪化することを避けた。
http://www.ft.com/cms/s/0/95d0ee5c-3541-11e0-aa6c-00144feabdc0.html
Riyadh rethinks stance on `popular revolt'
サウジやヨルダン、イエメン、クウェートなど、アラブの親米国の政府は、
いずれも独裁的な王政か終身的な大統領の政権だ。エジプト革命の映像は、ア
ルジャジーラやアルアラビアといったアラブ全域をカバーする衛星テレビ放送
によって即時中継され、アラブ諸国の人々を「自分の国の独裁政権も転覆でき
るのではないか」という気持ちにさせている。米政府は、エジプトだけでなく
アラブ全域の民主化を歓迎しており、アラブ諸国の反政府活動家は、自分たち
も頑張れば米国に支持され、独裁政権を転覆できると奮起している。サウジや
ヨルダンなどの親米アラブ諸国の権力者たちは、米国の理想主義が自分たちを
破滅させかねないと苛立ち、ムバラクやネタニヤフと全く同じ気持ちだろう。
イスラエル政府は少し前まで「ムバラクが辞めたら、イスラム同胞団の政権
が不可避となる」という見方をしていたが、米国の「専門家」の間では「エジ
プトでは今のところ、イスラム同胞団が最も良く組織された野党勢力であるの
は事実だが、今後時間をかければリベラル派の野党が育ち、同胞団をしのぐ勢
力になる。民主化してもイスラム主義の政権ができる懸念は低い」という見方
が強い。「イスラエルは同胞団の脅威を過剰に見積もり、エジプトの民主化を
阻害している」と、親イスラエルだったはずの米共和党系のネオコン(ブッシ
ュ政権で中東民主化やイラク侵攻を推進した勢力)がイスラエル批判をしている。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/02/AR2011020207325.html
In backing change in Egypt, U.S. neoconservatives split with Israeli allies
ネオコンに非難され、ムバラクの辞任も不可避と知ったイスラエル政府は、
数日前から「ムバラクが辞めても軍部が政権を握る限り、エジプトがイスラム
主義に陥ることはない」という言い方に変えた。しかし実際には、イスラム同
胞団についての見立てについて、米国のネオコンは間違っており、従来のイス
ラエルの方が正しい。米政府は、エジプトで軍部がずっと政権を握ることを許
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02月14日(月)
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