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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■American Pie
(話が逸れちゃうけど、同じノートにロシア文字をローマ字みたいに使って日本語表記する書き方で、自分が女になるっていうことを書いているところを発見した。わざわざ苦労してロシア文字を使ったのは、たとえ人が見ないノートでも、一目見て分かってしまう書き方をするのは憚られたからなんだよね。ああ、あの頃の気持ちが蘇る。やった、オピニオン出してもらうのに有力な手がかり発見!)



そういうわけで、私にとってはとても思い入れの深い曲だった。

そのうち、東京である女性とおつきあいした。

この人は私の心の中に「女」がいるっていうことをちゃんと知っていたらしく、ときどき私をそんなふうに扱うのだった。

彼女は英語に堪能で、アメリカへ留学したこともあった。

私とつきあうようになってから、ある年の暮れに彼女は再びアメリカへ旅行することになった。

私は彼女に、(当時何かの理由で聞けなかった)「American Pie」をお土産に買ってきてほしい、と頼んだ。

彼女は買ってきてくれた。

その彼女とは、今は決して会うことはできない。



こうして、思い出は更に重層になっていく。

そして……



え? マドンナが映画のテーマソングだかで「American Pie」を歌ってる?



そーなんだ、そういう時代になったんだ。

とっても感慨深い反面、マドンナほどの人が歌ってしまうということは、「American Pie」は「知るひとぞ知る」なんていう歌ではなく、「誰でも知っている歌」になってしまう、ということに、ため息の出るような「あっけらかん」さを感じてしまう。

もう、私一人のものではない……。

たぶん、これ、喜んでいいことなのだろう。



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03月15日(水)
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