ID:48158
doo-bop days
by ブーツィラ
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■「阿寒のアイヌの歌と踊り」
印象的だった踊りは、鶴の親が子に飛び方を教えて一緒に飛び立つまでを、アイヌの民族衣装を鶴のように羽ばたかせて踊る「サロルン リムセ」(鶴の舞い)、キツネが尾を振りながら跳ね回っている様子を模した「チロンヌプ リムセ」(きつねの踊り)、松の木が風に揺れている様を、アイヌの女性たちが長い黒髪を大きく揺らして踊る「フッタレチュイ」、お盆を交互に投げ合い、落とすか取られた方が負けという遊戯性の高い踊り「ヘクリサラリ」(盆の取り合いの踊り, 物を大事に扱うという意味もある)など。観客の反応が一番良かったのは、ユーモラスな娯楽踊りの「シネオッカイ トゥンメノコ」(色男の踊り)。仲の良い2人の女が1人の色男をめぐり、最後には取っ組み合いの喧嘩になる滑稽な様が、実際に女性2人・男性1人によって演じられ、会場は笑いに包まれた。
「阿寒のアイヌの歌と踊り」の主催である東京音楽大学付属民族音楽研究所は、東京音楽大学学長であった伊福部 昭先生によって「1975年」(本公開講座のパンフレットより)に創設された。伊福部先生は同研究所の所長、のち名誉所長に就任。アイヌ音楽の研究は、同研究所の開設以来、最優先課題として採り上げてきたという。過去にアイヌ民族の公開講座で招いた方は、1994年7月に安東ウメ子さん(と帯広カムイトウウポポ保存会?)、1999年に萱野 茂さんなど。2002年には「千歳アイヌの歌と踊り」が催されている。
「阿寒のアイヌの歌と踊り」は、アイヌ民族の踊りがたくさん観られる数少ない機会であるとともに、かなり充実した内容の公開講座であった。10/21(土)に観に行った「アイヌ文化フェスティヴァル 2006」での不満(アイヌ民族の古式舞踊は数曲しか披露されなかった)を払拭できたと思う。
ムックリは、技巧を凝らした演奏を6人の女性が聴かせてくれたものの、遂に生で聴けると期待していたムックリの名手・弟子シギ子さんのムックリは聴けなかった。エンディングの挨拶の場に唯一人出て来なかったので(最後に花束を受け取るため、ほんの少し登場した)、体調が芳しくなかったのだろうか。あるいは、床みどりさんのムックリも聴けなかったことから、後輩に演奏発表の場を譲ったのかもしれない。いずれにせよ、非常に残念であった。
節回しが難しいとされるアイヌの歌の、フチ(アイヌ民族の女性の古老)から若い世代への伝承は、阿寒口琴の会に限らず、アイヌのどの保存会にとっても差し迫った課題と思われる。
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「阿寒のアイヌの歌と踊り」
2006年11月16日(木)18:30開演
会場: けやきホール(古賀政男音楽博物館・JASRACビル)
出演: 阿寒口琴の会
主催: 東京音楽大学付属民族音楽研究所
助成: 財団法人 アイヌ文化振興・研究推進機構
【プログラム】
第1部
1.「トノト ソロパ」(酒こしの踊り)
2.ウコウク(本公開講座のパンフレットによると「座り歌」、一般的には「輪唱」の意)
-1)「イカムッカサンケー」
-2)「イタサンカタ」
-3)「カラカラ」
-4)「ウララシュエ」
-5)「アーラフンヤー」
-6)「サァーオィ」
-7)「エアウオ」(「カピウ ウポポ」)
3.「ク リムセ」(弓の舞い)
4.ムックリ演奏1 − 女性3人がそれぞれ演奏
5.「サロルン リムセ」(鶴の舞い)
6.「ヘクリサラリ」(盆の取り合いの踊り)
7.「シネオッカイ トゥンメノコ」(色男の踊り)
〜【15分の休憩】〜
第2部
1.トンコリ演奏 − 女性5人による合奏で3曲演奏
-1)「スマリ プー コ サン」(樺太アイヌのトンコリ奏者・西平ウメさん[1901-1977]による樺太アイヌの伝承曲「Sumari Puu Ko San」, 狐が山から下りて来て、蔵の中の食料を漁る)
-2)「エトフカ マー イレッテ」(カラスの水浴び, 樺太アイヌの伝承曲で、OKIのCD『TONKORI』収録)
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11月16日(木)
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