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M単★ランキン@馬券道場名人の日記
by ランキン
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■競馬のキオク その2
ハッキリと競馬を始めたきっかけは、マックスビューティからはだいぶ月日が経った。

私の場合はありがちであるが、「オグリキャップ」である。

当時、スポーツ新聞でもオグリキャップは扱われており、私でも目にすることがあったので名前くらいは知っていた。今でいうならディープインパクトの名前くらいは知ってる一般人って感じか。

残念ながら私が生放送でオグリを見たのはラストランの有馬記念のみ。

たまたまTVをつけたら、今まさに発走しようしてるところだった。

有馬記念が競馬の大レース…というくらいは当時の私でも知っていたし、「さあオグリキャップ!ついにラストラン!」とアナウンサーがしゃべったのでチャンネルを替えようとした手がピクッと止まり、そのまま見ていた。

あとはご存知の通り。まだ見習い騎手だった武豊騎手が劇的にオグリを勝利を導く。そのあと、ゆっくりと…ゆっくりとウイニングランを行なうオグリキャップ。

「何とも言えない歓声がオグリコールに変わりました」

とアナウンサー言ったように、いつの間にかオグリコールが…。

私には一体何が起きているのか判らなかったが、(ものすごいことが、今起きている…)ということだけは画面からも伝わってきた。競馬って普通ならレースが終わったら、すぐコマーシャルに入るもんなのにずっと一頭の馬だけを追ってるんだもん(笑)。

夕暮れ時の弱い日差しの中、ひと際大きくなったオグリコールの中を、ゆっくりゆっくりと4コーナーから直線に向いてくる際、TVは意識してなのか「引いた」画面で見せていた。アナウンサーも喋るのをやめて黙って見守っていた。

ただ、オグリコールだけがこだましていた。

どうしてなのか判らないが、私はこの場面が一番好きだ。画面の右下をユラリユラリと動いてるオグリは小さくしか写っていなかったのにスゴイ存在感だった。

直線に入るか入らないかで、画面が切りかわり、アナウンサーが「驚きました、さらにオグリコールが大きくなりました!」「さあ!ウイニングラン!ウイニングラン!」…と、画面に食い入っていた私に「パン!」と手を叩いて目を覚まさせるかのように喋った。オグリコール…ウイニングラン…私が覚えた最初の競馬単語である(笑)。

カメラは今度は内馬場側からオグリをアップで映す。画面いっぱいの大観衆を背景に、グッとこぶしを握り締めるようにガッツポーツをしていた武豊騎手と鶴クビキャンターのオグリキャップは本当に格好よかった。

これがその時のキオク。そのときまでオグリなんぞ名前くらいしか知らなかった私でさえ、画面から目を離せなかったんだから、ずっとオグリを追っていた人が感じたものは想像しがたいものだっただろう。

私の競馬のきっかけとなったこのオグリキャップのラストラン。このような歴史的瞬間を現場で立ち会えた人がずっと羨ましかった。

でも、私は先日ディープインパクトが絶望的な位置(アレは間違いなく絶望的な位置だった。勝ったとしてもエリ女のスイープとハルカのような着差なら理解出来るのだが…2馬身差は凄すぎる)から差しきって3冠を達成する瞬間に立ち会えた。なかなかきついスケジュールだったが行って本当に良かったと思っている。歴史的シーンに立ち会えたということで、私の中でまたひとつコンプレックスが解消された。

話を戻してオグリキャップ。

この名シーンはレース直後に「オグリキャップに謝らないといけませんねえ〜」と素直に認めた大川慶次郎さんのボヤキや(有名な「ライアン!」はその時には気づかなかった:笑)、ゴール後の歴史的シーンを的確な「言葉」と「間」で伝えた大川和彦アナウンサー(どっちも大川だったのか:笑)、突然起こったドラマを見事なカメラワークで捉えたTVスタッフ、ちょっとキザだったがスター騎手ならではのウイニングランでファンに応えた武豊騎手、それぞれが見事に噛み合って創り上がった名シーンとも言えよう。

もちろん主役オグリキャップが一番輝いていたことは言うまでもありません。


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11月15日(火)
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