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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■人は後戻りできない・・・
人間というのは勝手な生き物である。一度快適な生活に慣れると二度と不便な状態には戻れないのである。たとえばオレは「自動ケツ洗い機」の恩恵をいつも受けているが、二度と「紙だけでケツを拭く」生活には戻れないのである。ケツにこびりついた微少なウンコがどうしても気になるのだ。きちんと水で流さないと気が済まないのである。
恋愛もそうである。モテない童貞の男は「付き合ってくれるならどんな女でもいい」とまで思うわけだが、そういう童貞が間違って美女と付き合い、しかも結婚なんかしてしまうと「不細工な女とは付き合えない」という傲慢不遜な男になってしまうのである。モテなかった過去のことなどすっかり忘れてしまうのだ。お笑いの世界にもそういう勘違い男は多いし、最後は権力を振りかざして後輩に命令して美人を調達させたりするようになるのだ。そこまで行くともう人間として最低なんだが、実際にそういうカスがいるのだからオレは書いているのである。
後戻りできないからこそ文明は進歩するのだし、新幹線はどんどん速くなってついにはリニアみたいなものを作ろうとするし、維新の会は調子に乗って他党の議員が当選できないように地方議員の数を減らしたりするのである。なんでも拡大すればいいというものじゃない。害虫まで増えれば困るのである。
オレは贅沢なことは嫌いなんだが、それでもいつのまにか快適な生活に溺れている。クルマなんて故障しないで動けばそれでいいとかつては公言していたのに、いつのまにか趣味性を追求してついには乗っているだけで誰もが振り向くような目立つクルマに乗るようになってしまった。そんなに目立つと却って困るのに馬鹿なことをしたものである。
ふだん着る服なんてユニクロやGUで十分なんだが、それでもやはり少しでもオシャレでカッコいいものを・・・と工夫してしまうのである。実用性よりもファッション性を重視するようになったらもうオシマイである。ネクタイもいつのまにか「鬼滅の刃」のシリーズで揃えるようになってしまった。
靴もいつのまにか贅沢になった。以前は安い靴ばかり買っていたが、最近は「履きやすい靴」「長時間履いていても疲れない靴」を選ぶようになり、結果として価格も上昇した。前は一足3000円くらいでも「高い」と思っていたが、今は1万円を超えても平気になってしまった。もう後戻りはできないのである。
うまいものを喰いたい。ファミレスの1000円以下のハンバーグでも満足していたのに、いつのまにか「おいしいハンバーグ」を追い求めるようになって必然的に価格も上昇してしまう。昼食で2000円使ってしまうこともあるのだ。なんでオレはこんなに贅沢になってしまったのだろうか。
オレは今の自分がどんどん堕落していくことを恐れている。どうすればこの堕落を食い止められるのだろうか。不便な国へ移住した方がいいのだろうか。それとも豪快にもっと使うべきなのか。
オレの仕事場にはお菓子入れの段ボール箱があって、そこにはいつも大量の駄菓子が入っている。これもかなりの贅沢である。家の冷凍庫にはいつも大量のアイスがある。おやつに関してオレはものすごく満たされている。
オレは人生の最後までこのような快適な生活を続けられるのだろうか。最近はそういうことを心配するようになったのである。もう二度と昔には戻れない。そんなことを日々考えつつ、こうしてくだらない記事を書き続けるのである。
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11月11日(月)
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