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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■なぜ地方は衰退したか?
一畑百貨店が閉店して島根県から百貨店がなくなった。このように地方の不採算の老舗百貨店が閉店して街が益々寂れていくという流れは止まらない。なぜこのようになってしまったのか。それはすべて国の政策が東京への一極集中を加速したからであり、地方を衰退させたのは国の責任であるとオレは思っている。
北海道の赤字ローカル線がどんどんなくなってしまったことは誰が悪いのか。国鉄がJRとなり、分社化されたことで東海道新幹線という稼ぎ頭の路線の黒字をJR東海が独占することとなった。本来ならその黒字は全国津々浦々のローカル線を存続させるために使えるゼニだったはずである。地方振興に大いに役立つその財源が失われて、リニア新幹線などという無駄な投資に充てられ、しかも巨大地震が起きてリニア施設が破壊されればすべての投資が無駄になってしまうということにどうして気付かないのだろうか。
かつて、地方は東京や大都市圏に労働力を送り出す機能を持っていた。そこには「帰るべき家」があったのだ。大家族の長男や長女は実家を継ぐが、次男三男は都会に出た。田舎の大きな家は、離婚や失業といった形で夢破れて帰ってきた家族を再び受け入れる場所だったわけで、そうした「帰るべき田舎」を喪失したことがそもそも地方が衰退したということではないのか。誰も田舎に帰ってこないどころか、長男も長女も家を捨ててしまってあとには廃墟しか残らないようになったのが現代の状況ではないのか。
もっともオレは戦前のイエ制度を存続させたかったわけではない。ただ、そこには「家族の誰でも帰ることができるフトコロの深い場所」が残っていて欲しかったのである。兄弟姉妹が5人も6人もいて、その中には相撲取りを目指す者もいれば、お笑い芸人を目指す者もいて、しっかり勉強して東大を目指す者もいる。つまり、努力すればさまざまな未来に到達できるというジャパニーズドリームを目指す若者が大勢居るという活気のある田舎を守って欲しかったのである。
今、田舎は本当に衰退してしまった。どうしてそんなことになったのだろうか。どうして田舎を出た若者は二度と故郷に帰らなかったのだろうか。どうして長男長女も「イエ」を捨てたのだろうか。その理由はさまざま存在するだろうし、そもそも田舎が「豊かな場所」ではなくなったことも大きい。第一次産業に従事する人の人口は激減したし、そもそも農業や漁業が若者にとって魅力ある就業先ではない。それを食い止めるような国の政策はほとんど存在しなかった。地方の政治家は「公共事業」の誘致だけを考え、確かに整備新幹線や高速道路は通じたが、結果的にそれらの完成は、そこから人々を大都会に吸い上ただけだったのである。
衰退しているのは島根や鳥取、鹿児島や山形という地方だけではない。大都市近郊でもそれに近い現象は起きている。たとえば大阪府堺市では、堺東の駅前の商店街がどんどん寂れている。現職を破って市長になった永藤は維新の会の単なるパシリでしかなく、地域を振興しようというアイデアは全くない。結果として大阪府が200億円出して誘致した堺市の埋め立て地にあるシャープの工場は、大型液晶パネルの製造から撤退することになってしまったのである。これはせっかくの投資を成果に結びつけられなかった事例である。政治家がボンクラだとこういうことが起きてしまうのだ。
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06月24日(月)
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