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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■トイレ喪失の悲しみ
オレはクルマ通勤である。朝は特にそういうことはないのだが。帰宅時には運転中にトイレに行きたくなることが多い。それでトイレのある商業施設に寄り道することがあるわけだが、そういう場所はクルマを駐めてからトイレまでが遠い。その点コンビニならば、トイレが空いてればすぐにオシッコできる。そういうわけでオレは帰り道にとあるファミマをよく利用していて、そのたびにちょっとした買い物をしていた。トイレだけを利用するのは客の仁義に反する。トイレを使わせてもらう以上、何らかの利益も店にもたらさないといけないと思ったからである。
そのファミマがなんと閉店することになった。店の商品がやけに減ってるなあと思ったら、閉店のお知らせの張り紙があって。食料品以外の店内商品が大幅割引となっていたのである。スマホ充電用のケーブルやコンセントなどは半額程度になっていた。
オレは貴重なトイレを失ったのである。これまでの長い人生でオレは何度そのトイレに助けられただろう。もしもそこでトイレに入れなかったらオレはクルマの中で盛大にお漏らししていたかも知れないのである。もはや命の恩人である。
閉店するということは、売り上げが思ったほど伸びなかったということなのだろうか。朝の通勤時に昼食の買い物をしたりする時に、大阪市内に向かうのとは逆方向にあるこのファミマに寄ることはなさそうである。コンビニの多くはその立地ですでに命運が決まっているとも言える。
もちろんそのファミマのトイレが利用できなくなっても、近隣にはスギ薬局もあればマンダイもある。だからそこに行けば済むことである。しかしオレはこのファミマにはこれまでずいぶんお世話になったという恩があり、それを十分に返せないままに閉店してしまうことが残念なのである。
トイレは大切だ。歳を取ってトイレが近くなった。軽い尿意を覚えたと思ったらすぐに「漏れそう」の段階に昇格するようになった。昔ならもっと我慢できたはずなのに今は無理である。膀胱壁が硬くなって多くの尿をためることができなくなったのかも知れない。それもまた老化の一つである。
いずれオレもサポートパンツや大人用紙おむつのお世話になるのだろうか。入院するまでは自宅で生活し、自力でトイレに行くことができた父は自らの衰えと死期を悟って「緩和ケア」へ入ることを選んだ。
長くお世話になったファミマが閉店した跡地にはどんなコンビニが入るのだろうか。個人的にはミニストップが来て欲しいのである。ただ単にソフトクリームを食べたいからである。
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05月09日(木)
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