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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■朝ドラ終了の寂しさ




 オレはここ数年、NHKの朝ドラを視ている。受信料を払ってる分、少しでも元を取り戻したいというセコい理由もあるんだが、何より面白いからという理由も大きい。もっともつまらないので途中で離脱してる作品が存在することも事実だが。

 今放送中の『ブギウギ』もすばらしい。歌唱シーンが毎回素敵なことでオレは引き込まれたのだが、それと同時にヒロインの趣里さんの演技の素晴らしさに心が動かされたことが大きいのである。大阪弁もとても自然な感じである。最近の彼女のしゃべりはもはや「大阪のおばちゃん」レベルにまで昇華された。

 その朝ドラ『ブギウギ』も今週で終わる。次は伊藤沙莉の『虎に翼』となるわけだが、いったいどんなドラマになるんだろうか。

 オレはドラマを視るかどうかの判断は基本的に自分の好きな女優さんが出ているかどうかで決める。どんなに評価が高くてもその時点で外してしまう場合もある。『らんまん』は浜辺美波さんを見るのが楽しみだったし、『舞いあがれ!』のストーリーは完全に破綻していたが福原遥さんが好きなので視ていた。『ブギウギ』のヒロインの趣里さんははっきり言ってオレの好きな女優さんのタイプにはあてはまらないのだが、健気にその役を演じているというひたむきさをいつのまにか好きになっていた。

 昔に比べればTV番組を録画して楽しむのは格段に便利になった。リモコンを操作して「連ドラ予約」と入れることで確実に見落としなく楽しむことができる。88歳の母にもリモコン操作して予約するやり方を教えたので、母はいろんなドラマを録画予約して楽しんでるようである。昔録画したVHSのビデオテープなども我が家にはまだあるが、そもそもそれを再生できるデッキがもうないのである。古い映画なども視たいと思えばいつでも作品名を検索してダウンロードして楽しめるので、DVDを収集してライブラリーを充実させておく必要がそもそもないのである。

 考えれば懐かしい番組もいつでも動画サイトで視ることができる。これは今の若者にとってもそうであり、同時代以外のものも体験できるのは幸せなことである。オレは自分が物心つく前の映画も機会を見つけてできるだけ視るようにしている。すぐれた芸術作品に触れることは、自分自身の感性を豊かにしてくれるからだ。

 人は一回の人生しか生ききることができない。小説を読むことやドラマを視ることは、その登場人物を通じてさまざまな「生」を知ることでもある。そうして人は「自分が選ばなかった生」に関して思いを馳せるのである。他者のさまざまな「生」を理解することで共感力や思いやりの心を身につけるのである。どんな生であってもそれを受け入れる寛容さを身につけるのである。

 NHKの朝ドラは一個人の人生を描くという一貫したテーマがある。このスタイルはこれからも貫いて欲しいものである。オレはそれを楽しみにしているのである。


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03月26日(火)
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