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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■維新の教育行政とは何か?



 大阪府知事選挙、大阪市長選挙では絶対に維新候補を落とさないといけない。10年以上にわたってあの連中が好き放題にめちゃめちゃにした大阪を取り戻さないといけない。今度の選挙は乾坤一擲の戦いだ。吉村洋文を知事の座から引きずり落とし、これまでの嘘の数々を認めさせ、土下座謝罪させないといけないのだ。

 大阪府の私立学校には国からの私学助成金が与えられていて、それを生徒から徴収した授業料と合わせて質の高い教育が可能になっていた。ところが府知事となった橋下徹はこの私学助成金(経常費補助)を全廃したのである。いきなり打ち切られたために多くの私学が経営難に陥った。その中には怪しいヤクザに理事会を乗っ取られ、もう少しで学校ごと不動産業者に売り飛ばされそうになったところもある。

 橋下の考えたスキームは、そうやって浮かせたゼニを保護者に配り(買収)、「金銭的な理由で私学をあきらめていた人もそのお金で私学に行けますよ」と宣伝したことだった。つまり、お金の流れを変えるだけで実質府は何も負担せずに有権者には恩を売ることができたのである。これが大阪の「私学無償化」のスタートである。

 もちろんゼニには限りがある。そこで橋下は無償化の対象となる生徒を絞り込むために所得制限を行った。世帯年収590万円以下の者は無償化対象からはずれたのである。

 するとどういうことが起きるだろうか。大阪というのはもともと公立高校志向の高い土地である。北野高校、天王寺高校という東大・京大に多くの合格者を出す名門校もあるし、オレや吉村知事の母校である生野高校というド田舎の進学校もあった。そういう所を目指せる生徒はもともと私立高校への進学は考えてない。どうしたら優秀な生徒を私立に行かせることができるか。大阪の公立高校の校区は9学区に分かれていて、それぞれの学区のトップ校から東大や京大が目指せる仕組みだったのだが、それを4学区、最終的には1学区にまとめ、どの高校でも自由に受験できるようにしてしまったのである。そうすれば北野高校や天王寺高校の志願者が増えて競争率が上がる。不合格になった生徒を私学に誘導できるのである。受験競争が激化すれば塾も儲かる。高校ごとの志願者数が偏るために定員割れの公立高校が生まれる。そこで「3年連続定員割れの高校は閉校する」という条例が作られ、大阪府の公立高校はものすごい勢いでつぶされていったのである。公務員の数を減らすことで経費が節減できるし、学校の土地を不動産業者に安価で売り飛ばすことで不動産業者に利益を与えることもできる。このような利権構造が維新行政の中で生まれたのだ。

 しかし、大阪府立の高校は郊外にあるものが多く、不動産業者にとってもあまりうまみがあるモノでは無かった。そこで維新の連中が目を付けたのは「大阪市立高校」である。これらは一つを除いてすべて交通至便な大阪市内の一等地にある。更地にして売り飛ばせばタワマン用地として莫大なゼニが生まれる。しかし府立高校とちがって大阪市立は「3年連続定員割れ廃校条例」の適用外である。それをゼニに換えるために大阪市議会で維新は公明と握って大阪市立高校22校、土地代だけでも2000億円以上あるものを無償譲渡させるという無茶な法案を可決させたのである。大阪市民の財産はタダでむしり取られたのである。いずれその跡地にはタワマンが建つだろう。

 維新利権というのは不動産利権である。不動産業者の多くが維新の会の支持者であるのは、議員経由でオイシイ話が舞い込むからである。みごとにゼニでつながってるのだ。

 大阪市内の小中学校には「学校選択制」という仕組みが導入された。これによって好きな学校を選べるのである。学力テストの平均点や、進学先の高校といったデータが公開されることで公立の小中学校に競争原理が持ち込まれ、現場の教員はさらに疲弊することとなった。その結果なのか、大阪府の小中高は、1000人当たりの不登校率がどれも全国ワースト3に入っているのである。それで果たして「成功している」と言えるのだろうか。不登校の高校生の数は大阪は日本一多いのである。学区制を廃止して自由に学校を選べるようになった結果がこの数字というのは皮肉というしかない。


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02月11日(土)
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