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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■パジャマスーツ
紳士服大手「AOKI」のCMで、パジャマスーツなるものが売られていると知る。外見はスーツだが、着心地はパジャマというものらしい。値段もかなり安くて、カジュアルな感覚で着られるのなら便利だろうなと思うし、伸縮性のある素材の服に慣れるともう元には戻れないのである。肩も凝らないし本当に楽ちんである。私はGUとかユニクロでセットアップのスーツをよく購入する。そのときにやはり「伸縮性のある」素材」を選ぶのは、その快適性にもう慣れているからである。
逆ならどうだろうか。見た目がパジャマなのに着心地がスーツ、こんなのは絶対に嫌だ、見た目と実質のギャップはよいことばかりとは限らない。名探偵コナンは「見た目は子ども、中味は天才」だからカッコいいのである。もしも「見た目は大人、中味は子ども」ならなんと迷惑な人間だろうかということになる。ギャップ萌えというのは逆になれば怖いものがおおい。
オレなどは見た目がコワモテに見えるせいか、実際に話してみると驚かれる方が多い。「ブログみたいにいきなり罵倒されるのかと思いました・・・」と言われるのだ。あれはあれで「暴言コラムニスト」という役割を演じているのである。実際のオレは暴言なんか絶対に吐かない、紳士そのもののおだやかな雰囲気である。
「見た目はスーパーカー、動力性能は軽自動車」なんてクルマはいやだ。逆に「見た目は軽、中味はスーパーカー」というのは奥ゆかしい。実はエンジンを載せ替えているとか、見えないところでさまざまなパワーアップの工夫がしてある「羊の皮をかぶった狼」というのはいいものである。「狼の皮をかぶった羊」はダメだ。見た目はスーパーカーだが重すぎてちっとも速くない光岡自動車の「オロチ」なんかがそれに該当するだろうか。もっともオロチは希少価値があるので運転してるとけっこう注目されそうである。
最初のテーマに戻るが。AOKIがそうした「パジャマスーツ」を販売する背景には、紳士服専業ではもう食べていけないという状況があるからだと思っている。なぜかというと、今はワークマンでもGUでもユニクロでも、いわゆるスーツ風の作業服だったりカジュアルウェアだったりする服が買えてしまうわけで、もちろんオレもそういうところで買う一人である。だからAOKIがそうした客に迎合してきたということなのだ。
リモートワークが増えると、いちいちスーツを着て出勤する必要はないわけで、家に居るともちろんスーツなんか着ないし、もしもリモートワークなのに服装だけきちんとしていないといけないなんてことになるのなら面倒くさい。
オレは以前はスーツを着てネクタイをして仕事してることが多かったが、年間の半分くらいを「クールビズ」という世相のおかげで楽なスタイルで過ごせるようになって本当に感謝している。まあネクタイをしないといけないのも退職までのあとわずかのことなんだが。定年後はまずネクタイをすることはないだろう。
見た目はスーツ、着心地はパジャマというのをもっと発展させた先には、見た目はスーツで着心地は全裸というものが来るのだろうか。「まるで何も着ていないような感じ」という究極のスタイルにオレはあこがれる。
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10月31日(月)
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