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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■上本町30分の快楽
クルマで銀行ATMを利用する時にありがたいのは、近隣のコインパーキングなどの無料サービスがついている場合である。30分や40分という短時間だが、ATMで出入金するには十分な時間である。
オレは先日、上本町6丁目のUFJ銀行に立ち寄るために銀行と提携してるコインパーキングにクルマを駐めた。用事はすぐに片付いたが、クルマに戻ろうとしてふと「あと25分ある」ということに気づいた。そのまま戻るのは何かもったいないのである。
そこでオレは上六交差点に踵を返し、横断歩道を渡ってハイハイタウンという雑居ビルの1Fにある「蛸八」という店で明石焼きを食べることにした。しばらく行ってなかったのである。
久々に行く店内には客はいなかった。カウンターに座った俺は「明石焼きですか」と問われて「はい、お願いします」と答え、待つことしばし、目の前には明石焼きとだしを入れる小皿、ショウガと三つ葉の入った小皿が並べられた。これがなんとたったの450円なのである。
明石焼きのよさは、たこ焼きよりも焼きあがるのが早いということである。だから短時間ですぐに提供されるのである。たった25分しかないのに「明石焼きを喰おう」などと考えることができるのは、すぐに提供されることがわかっているからである。店が混んでなかったらなおのこと安心である。
オレは食べる前に明石焼きの写真をツイッターにUPした。それから少し熱いのをハフハフしながらあわてて食べた。タコは少し薄く切られてるような気がしたが、今輸入品の価格がなんでも高騰していることを思えば仕方のないことである。
明石焼きと言えば明石である。本場の明石の明石焼きは昔食べに行ったことがある。大阪の文化はやはりたこ焼きだ。しかし、おいしい明石焼きが大阪にないわけではない。大阪以外でおいしいたこ焼きに出会える可能性は極めて少ないが、大阪では日本中のうまいものがその土地のレベルに匹敵するおいしさで食える。それが大阪の食文化のよさである。もちろんこの上本町の「蛸八」の明石焼きもとてもオイシイのである。
オレは駐車券の残り時間が8分くらいの所で明石焼きを食べ終えて、余裕を持ってコインパーキングに戻った。横断歩道を渡ろうとしたところで信号が変わったので、地下道に駆け下りて待ち時間を節約し、残り4分くらいのところで駐車券を機械に挿入して無事に無料時間内に出庫させることができたのである。
明石焼きのような熱くて食べにくいものをすばやく食べる技術としてオレには「空冷ハフハフ喰い」という技がある。これは食べるときに口を少し開いて、大量の空気を送り込むことで風で食べ物を冷やすという高度なテクニックである。お好み焼きにも有効な技である。銀行がくれるわずか30分の無料駐車時間で明石焼きを食べて戻ってくるというのは誰でも可能なわけではない。どうか早食いの苦手な方はマネしないで欲しい。口内に火傷したとしてもオレは責任をとれないからである。
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10月10日(月)
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