ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ISHIN誕生秘話




(この話はフィクションです。実在の政党を思わせる表現がありますけど、すべて無関係ですから冗談だと思って下さい。)


 眠主党に政権を奪われた痔民党は焦っていた。このままではこれまでに築いてきた利権の全てが失われてしまう。なんとしても政権を取り戻さないといけない。どうすればいいのか。まずは政権政党にスパイを送り込んで自滅させることだった。誰をスパイにしたらいいのか。おあつらえ向けの馬鹿が眠主党にいた。野駄佳彦という男だった。このボンクラをうまく操って、選挙で自滅させようという作戦を痔民党首脳は立てたのである。

 一方、これまで多くの信者を政治家の秘書やスタッフの形で送り込んで、日本を支配するという企みを着々と信仰させていた十一(とおいち)教会の幹部も焦っていた。もしかしたら痔民党は政権復帰できないかも知れない。どうしたらいいか。そのときに韓亀子総裁は思い出したのである。昔、勝共連盟という自分たちの下部組織に居たおっちょこちょいの青年、松井次郎のことを。彼は今大阪府で痔民党議員としてよろしくやっている。この馬鹿をうまく利用して「偽野党」を作ってしまえばどうだろうか。日本国民は基本的に馬鹿なので、「改革」と叫ばせておけば勝手に票は集まる。それでさっそく大阪を本拠に「偽野党」の組織作りを実行にうつしたのである。

 松井次郎をいきなりその偽野党の総裁にするのはハードルが高いし、痔民党議員もついてこない。誰か広告塔はいないか。ゼニで簡単に転ぶ無節操な男は誰か。ある程度テレビにも出ていて知名度がある方がいい。そうして白羽の矢が立ったのが橋ノ下通という人物だった。橋ノ下は弁護士という肩書きでテレビのバラエティ番組を賑わせていたタレントである。大阪ではお笑い芸人が参議院選挙で当選したりする。だから芸人を選挙の目玉にすればいいという発想だったのである。

 韓亀子総裁の作戦は見事に当たり、橋ノ下通はみごとに大阪腐知事となった。あとは松井次郎を使って大阪に地域政党を作ればいいだけである。幸いなことに大阪には選挙に落ちて無職になった落選世襲議員たちが大勢いた。そこに現職の議員を巻き込んで「地域政党、大阪ISHINの会」を立ち上げれば、選挙で当選することだけが目的の世襲議員たちはこぞって参加するだろうと韓亀子は考えたのである。

 偽野党であるISHINの会は「議員の身分」という既得権益を守るための集団としてスタートした本当にシンプルな政党だった。だから住民の生活を向上させるなどというまっとうな方針や行政能力は持ちあわせていなかった。公務員の数をどんどん減らし、その分の穴埋めをやはり韓亀子総裁の息がかかった人材派遣業の竹平蔵という男に依頼した。竹平蔵の所属する財団というのは実は松井次郎と関係が深かった。その財団はとある博打の胴元であり、その収益金を全国で分配するように見せかけて、実は韓亀子総裁のところに送金する組織だったのである。

 その後、眠主党総裁の野駄佳彦の裏切りが成功して痔民党は政権政党に返り咲き、韓亀子の腹心である阿片(あへん)晋三が総理大臣になった。阿片晋三はかつて満州でのアヘン売買で巨利をむさぼったためにA級戦犯とされた岸井信介の孫である。その阿片が総理になったことで、韓亀子は日本での布教活動にお墨付きがもらえた。これまでの集金手段であった冷汗商法に対する規制も外してもらった。警察の手が及ばなくなることでますます資金は集めやすくなった。十一教会の悪名は知れ渡っていたので、文部科学大臣の上村を抱き込んで教団の名前を「世界平和家庭連盟」と変更させ、まるで十一教会とは別団体であるかのようにごまかしたために、何も知らない多くの人が新たに犠牲になったのである。本当の目的は「世界征服」なのに、「世界平和」とはふざけるのもいい加減にしろよとオレは言いたくなるのである。


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09月05日(月)
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