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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■公費で塾に行かせようとする馬鹿
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 塾に行けば誰でも成績が上がるのかというとそうではない。オレは「成績が悪いから塾へ行く」という考え方が大嫌いだ。なぜ成績が悪いかというと、たいていその生徒が授業中に教師の話をろくに聞かずにぼんやりしていたり、宿題をしないでゲームばかりしていたりしているからである。その原因を排除しないで塾に通わせても、学校の授業をますます軽視するようになるだけである。オレはこの読売新聞の記事を読んで唖然とした。

養護施設の中学生に塾の月謝、国と地方で支給へ
 厚生労働省は、児童養護施設に入っている中学生に塾の月謝を支給する。
 都道府県と半額ずつ全額を負担する。来週中にも正式通知する。
 親の生活苦や虐待などの理由で施設に入る子供たちの学習の遅れが指摘されており、「学習環境が十分でない」とする施設側の要望に応える。
 厚労省家庭福祉課によると、3000人の塾通いを想定し、塾の月謝に使うことができる費用として今年度は7280万円を充てる。4月分からさかのぼって支給する。
 児童養護施設に入る子供に、給食費や教育費などの費用が国と都道府県から支給され、中学生は教材費などの加算はあるが、塾の月謝に充てることはできない。
 一方、厚労省の調査で、児童養護施設の子供の約26%に学業の遅れがあるとする結果が出ている。全国児童養護施設協議会は、学習費の拡充を求めてきた。
 厚労省は、「中学生の塾通いはもはや一般的となっている」と認めることにした。
 都内などでは先行して塾通いを始めた施設の中学生もおり、都は6月までに請求があった8施設に計約100万円を支給している。
 東京・練馬区の児童養護施設「錦華学院」は、1人約3万円の月謝で2人の中学生を塾に通わせている。土田秀行施設長は、「施設は日常の業務に追われ、学習指導では宿題をみるのが精いっぱい」と話している。
 厚労省家庭福祉課は、「学習機会を一般家庭と均等にし、学習意欲を高めたい」としている。(2009年7月2日05時22分 読売新聞)

 塾通いなどしなくてすむように、学校できちっと教えることの方が大切じゃないのか。こうして塾に丸投げすることを厚生労働省が勧めるなんてオレには正気の沙汰とは思えないのである。なんでこんなむちゃくちゃな発想が出てきたのか。

「児童養護施設の子供の約26%に学業の遅れがある」ということだが、残りの74%には学業の遅れが出ていないのならそれで十分じゃないか。それとも今の中学校で全員が100%学校の授業内容を理解しているというのだろうか。その「26%の遅れ」というのはどういう統計手法で出てきた数字なのか。クラス平均点よりも低い生徒が26%ということならば残りの74%は平均よりも上ということになり、だったら一般の生徒よりも児童養護施設の子どもたちの方が成績がよいということになるじゃないか。

 塾に通わなければ受験勉強ができないなどというのは間違った発想だ。その気になればいくらでも市販の問題集や参考書で勉強できる。学習の基本は自学自習である。月3万円の塾の月謝なんてものを公費から支出するなんてあまりにも馬鹿げている。そんなことをしてやらなくてもできるヤツはできるしできないヤツはできない。塾に行ってる生徒が100%できるようになるわけではない。結局は本人の努力しようとする姿勢と能力なのである。

 不幸にも自分が親の元で生活できずに児童養護施設にいるという運命をしっかりと受け止めて、必死で努力することで自分の手で自分の将来をつかみ取ることこそが大切なことであり、そこに「塾に行かせる」という形で支援する必要は全然ないのである。


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07月03日(金)
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