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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■堺市にLRTは必要だろうか?
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 LRTというのは路面電車をちょっとオシャレに呼んだだけにしかオレには思えない。新交通システムなどと言えば聞こえはいいが、かつて路面電車を公道から追い出したというのが我々の歴史であることを忘れてはならない。LRTという語はLight Rail Transitの略称で、輸送力に関して言えば地下鉄や通常の鉄道よりも小さいが、バスよりはましという程度のモノである。もっともヨーロッパの都市では都心部の混雑を解消するために導入されたLRTが一定の成果をあげている。需要のある場所できちっとクルマとの分離交通に成功して渋滞の影響を受けなかったらそれなりに役立つだろうとオレは思うのである。

 さて、このLRTを堺市に建設しようという動きがあって、堺東(南海高野線)・堺(南海本線)・堺浜(シャープの工場)を結ぼうという計画なのだが、総工費は425億円ほどかかるという。 堺市はこんな計画概要を発表している。どうせエコ関連ということでLRTへの国からの補助金をあてにしてるのは明白だが、それにまつわるもろもろの議員どもの利権もからむわけで、これもまた一種のイナカモンドリームである。赤字になることは確実で、その負担もまた市民が背負わされるのである。全くもって馬鹿馬鹿しい限りだ。

 そうやって無謀にもLRTが導入されたとして、果たして堺市は活性化されるのか。その費用は回収できるのだろうか。そもそも利用者はどの程度あるのだろうかとオレはその計画自体を疑問視してしまうのだ。

 南海高野線の堺東駅周辺はもう完全に寂れてしまっている。いちおう駅前には市役所があり、その反対側には三国ヶ丘高校があり、駅ビルには高島屋が入っている。しかし、かつてダイエーが入っていたビルは今は空きテナントだらけの閑散とした商業施設になっている。場末の商業施設の象徴である100円ショップのダイソーがワンフロアーを全部占めてるのである。しかもこの商業施設は6階以上が空き室のまま放置されているのだ。条件の折り合う入居希望者がないのである。駅前のアーケード街も昔のにぎわいはない。やはりシャッターの降りた店が多い。高島屋堺東店の店内は活気がなく、もう完全に終わった百貨店である。わざわざ堺東で降りなくてもそのままあと10分ほど乗れば難波に着くわけで、そこまで行った方が魅力的な店が多いのである。

 この堺東駅から東に2キロほど離れた場所にある御堂筋線北花田駅のところにはイオンモールがあり、駐車場は週末ともなると出るのに1時間くらい待たされることもあるほどでかなり混雑している。おそらくイオンモールの来客は堺東駅周辺の商業施設全部のトータルをはるかに上回るだろう。このイオンモールはオレもよく利用するのだが飲食店街は行列のできている店が多い。とにかくかなり混雑してるのである。イオンモールとは何の関係もない周辺にあるイカ焼きやたこ焼きの店まで繁盛してるのである。

 寂れている堺東と賑わっている北花田、何が違うのかといわれれば高島屋とジャスコの違い・・・と言うよりも駐車場だろうか。堺東でクルマを停めるには1時間あたり400円程度のコストがかかるのだが、北花田では基本的に2時間まではタダである。2時間を過ぎてもお買い物をすれば無料になるし、土曜や日曜のようにめちゃんこ混雑していて出庫するまでに時間の掛かるような時はもう出口はフリーパスになっている。その場合は一日中クルマを置いていてもタダである。この差は大きい。

寂れた堺市中心部にLRTを走らせることで客を呼ぶ・・・なんてことが本当に成功すると思ってるのだろうか。そんなもので運べる人数ならば、シャトルバスをたくさん走らせれば十分に運べるだろう。導入コストもバスの購入費くらいしかかからない。一台1億円のバスを50台購入するとしてもせいぜい50億円でLRT導入よりもはるかに安いだろう。しかし、それだけの人がやってくるだけの魅力をどうやって作り出すのか。


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03月02日(月)
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