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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■そんな小さいのどうやって読むんだ!
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 米粒に字を書いたり、絵を描いたりする人がいる。こういう細かいことというのは日本人の得意技なんだろうか。とにかく「すげぇ!」と思うのである。しかし、この細かいことが得意という技を発展させたものが日本の産業技術を支えたわけで、我々はその恩恵を受けて暮らしてるだけに無視できないのである。しかし、オレもこれにはさすがにたまげてしまったよ。原子を一個一個並べて文字を書けるのかい? なんてことだ。無断転載・複製を禁ずとあったのでここにその写真を載せることはできないが、読売新聞のWEBサイトの記事を引用しよう。リンク先に行けばその原子で書いた文字が見られるよ。

原子を並べて世界最小の文字、25万分の1ミリの基板上で
  直径が1000万分の7ミリの原子を12個並べて世界最小の文字を書くことに、大阪大学の森田清三教授、阿部真之・准教授らが成功した。成果は米科学誌サイエンス電子版に17日掲載された。
 阿部准教授らは、極細の針と物質の間に生じる引力の変化で表面の構造を読み取る「原子間力顕微鏡」を改良し、針先を10億分の1ミリ単位で操作できるようにした。
 スズで表面を覆った基板に顕微鏡のシリコン製の針をギリギリまで近づけると、針先からシリコン原子が1個飛び出し、スズ原子1個と入れ替わった。この現象を利用し、縦横25万分の1ミリの基板上でスズ原子をシリコン原子に置き換え、シリコンの原子記号「Si」の文字を書いた。
 IBMなども過去に原子を並べて文字を書いているが、極低温下でなく、室温の環境で書いたのは阪大が初めてという。阿部准教授は「半導体の性能を大幅に向上させたり、原子レベルの精密さで集積回路を設計したりできる可能性がある」と言う。(2008年10月17日15時12分 読売新聞)

 オレは高校生の時に物理や化学が得意だった。化学の授業で黒板に書かれた構造式を見ながら、これを積み木細工みたいにいじれるのならすごいのになあと思ったものである。こっちの水素原子をちぎってこっちに移動させて、こっちから炭素原子を引っ張って・・・というふうに。そして、思い通りの構造式の物質を作ってしまったりするその技術に感嘆したものである。なぜ目に見えない小さな世界のことがちゃんとわかり、またその世界を支配できるのか。残念ながらオレが物理や化学を勉強していたのは受験勉強までで、そこから後は趣味の世界になったのだが。大学の授業の一般教養で化学や天文学を選択したが、それは文系向けのやさしい内容だったし。

 今パソコンのCPUはアメリカに支配されている。日本人が作ったCPUとしてオレはその昔、V30というNECのCPUが搭載されたパソコンを使っていたことがあるが、今のパソコンと比較するとお話にならないような貧弱な性能だった。いつか日本が巻き返しをはかって、日本発の技術でパソコンの世界を支配するようになって欲しいと願うのだが、考えたらパソコンの中味なんてほとんど外国勢じゃないかと悲しくなる。CPUはインテルで、マザーボードは台湾のASUS、ハードディスクを見ればマレーシア製だったりする。日本で作ってるのは液晶くらいである。

 ノーベル賞の日本人受賞者が一気に4人出た。こういうムードの中でもっと優秀な若者が理系を目指し、将来の日本を支えて欲しいとオレは願うのだ。理系の連中が金融工学なんてものを駆使して開発した金融商品が今世界をどうしようもない状況に追い込んでいる。貴重な頭脳がそんな虚業ビジネスの世界に流出し、ギャンブルのような金融商品を作り出したことで世界が大混乱しているのだ。どうやって責任をとってもらえばいいのかと思うが、バクチの仕組みを作ったものに罪はなく、賭けた側の責任だからなあ。

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10月18日(土)
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