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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■回らない風車に2億9000万円
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風力発電が事業として成功してる場所が日本国内にあるのだろうか? 安定して発電に十分な風が吹くような場所は限られてるが、電力会社の買い取り価格が低く抑えられているためにビジネスとしては成立しないのじゃなかっただろうか。設置しても風がそれほど吹かないために期待したような発電量は得られないというのが実情である。結局風力発電というのは、設置工事をする業者の金儲けの口実に使われているだけで、事業主体の自治体などにとってはゼニを出すだけでリターンがないというのが現実ではないのか。もしも採算がとれてうまくいくのなら大手が参入しているはずである。電力会社もどんどん風車を設置するだろう。そんなふうにならないのは儲からないからである。
それなのに「風車を設置したら利益が出る」という誘いにだまされて2億9000万円も支出してしまったつくば市は、事前調査に手抜かりがあったというしかない。アサヒコムの記事を引用しよう。
つくばの回らぬ風車、早大に2億円賠償命令 東京地裁 2008年9月30日0時27分
小中学校に風車を設置して発電し、売った電力で地域通貨を発行して地域の活性化を……。そんな夢のある事業計画が、肝心の風車が回らずご破算となった茨城県つくば市が、風車導入の契約を結んだ早稲田大学や風車メーカーに対し設置費用約2億9千万円を求めた訴訟の判決で、東京地裁は約2億円を支払うよう早大に命じた。
判決などによると、つくば市は04年に早大と契約を結び、05年7月までに23基の風車を設置した。ところが早大側が示した予想発電量は、設置された風車より回転部分が大きい場合の数値だったことなどもあり、実際の発電量は予想を大きく下回り、事業は実現不可能となった。
荒井勉裁判長は、「期待された発電量が得られないことを認識し得たにもかかわらず、得られると市に報告した」と述べ、早大に契約違反があったと認めた。一方で、市内の実際の風の状況が、早大の想定より相当悪いことを市が知り得たとして、「事業の推進に慎重な検討を迫る材料がそろっていたのに、早大側の調査結果のみを鵜呑(うの)みにした」と指摘。市側の請求額の7割を損害と認めた。
判決に対し、早大は「判決は、つくば市の事業主体の責任を見誤るもので到底承服しがたい」とするコメントを出し、即日控訴した。(河原田慎一)
この記事を読む限りでは、早大の出したデータにごまかしがあったというふうに受け取れる。強引に風車設置の事業を進めるために、それを示せば市が事業の中止を考えるような重要な情報を開示せず、つくば市に判断を誤らせて巨額の税金を無駄にさせたということなのだろうか。裁判所が早大に2億円の賠償を命じたということは、原告のつくば市の訴えを認めたということになる。
風車の設置によってどの程度の発電が可能か。つくば市内に恒常的に吹く風の大きさはどんなものであり、それはどのくらい安定した発電を可能にするのか。そうしたことを調査して見通しを出すことはつくば市の側には無理である。専門的な立場で早大側が調査、検討してつくば市に示すべきだろう。その時点で「どうせ税金から出すゼニだから・・・」という感覚が早大の側にあったならば、国から補助金を受け取っている教育機関として恥ずかしい話である。そこに税が投入されるならなおさらその事業の有効性についてしっかり検討されなければならなかったはずである。民間企業なら事業に失敗してもただ破産すればいいだけだし、そこで失われるのはその企業の経営者のゼニや銀行のゼニである。ところが地方自治体が事業主体となる場合、そこに投入されるゼニはもともと税金として国民から徴収したものである。だったらなおさら無駄にしてはいけないのだ。(ところが多くの公務員の側は「どうせ自分のゼニじゃなくて税金だから豪快に使えるぜ!」と錯覚していたようで実に情けない話である。そんな錯覚をしていた公務員が多かったことは、先日明るみに出たタクシー券の無駄遣いや接待タクシーの状況を見れば明らかだろう。
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09月30日(火)
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