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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■荒廃マンションが増えています
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 朝日新聞の「わが家のミカタ」という読み物に「増える荒廃マンション」という記事を見つけた。管理組合がしっかりと機能しているところはまだいいのだが、古いマンションの中には管理組合がゼニを持ち逃げしてしまったり、存在しなかったり、管理会社が倒産したりということで管理が破綻して荒廃している分譲マンションが増えているのだという。分譲マンションにはエレベーターや廊下という共用部分がある。また修理のための積立金も必要である。

 所有者が居住者と一致しないものも多い。自分の所有するマンションを賃貸して、自分は別の場所に住んでいるという場合である。そうした不在家主の中には、部屋が空き家になってしまうと管理費を滞納する者もいるわけで、そうして滞納された管理費が100万、200万という金額になる場合もあるわけである。それを請求するだけでも大変な労力である。結局まともな住民はどんどん出ていてしまい、後には引っ越す余裕のない人が残されるのである。そうして荒廃はどんどん進むのだという。エレベーターが故障しても修理できなかったり、外壁がひび割れて雨漏りしたり、廊下にゴミが散乱していたりと。

 しかし、それはマンションを分譲という形で販売したときに想定された事態ではなかったのか。いつかその管理が破綻したときに、どういう形で収拾をつければいいのか。住民が自分たちの自治に無関心であるという事態にどう立ち向かうのか。

 これは別にマンションに限ったことではない。オレの住む町内にも空き家が実は増えてきている。一戸建ての家に誰も住んでないという空き家が最近増えてきたのだ。誰も買い手がつかないのか、そのまま放置されているのである。もしもこういうところに暴力団員や不逞の輩が出入りしてそのまま居着いてしまったらどうするのか。オレはそんなことを心配してしまうのである。

 分譲マンションという巨大な長屋が機能するためには、その住民同士が密接につながりを持つ必要があった。ところが隣人意識はどんどん希薄になるばかりの現代にこのような集合住宅を存在させたことが大きな過ちだったのかも知れないのである。集合住宅をすべて賃貸住宅にして、大家さんや管理会社が存在してちゃんと管理する形態にしていれば、今のような分譲マンションのスラム化はかなり防げただろう。しかし、分譲という形で巨額のゼニをそこから回収することが、つまり住宅ローンという巨大な負債を多くの市民に背負わせることが国策であったためにこの悲劇が生まれたのかも知れない。

 管理費や修繕積立金の不足で浄化槽の清掃ができないとか、老朽化しても建て直しができないとか、空き家だらけで住民がほとんどいないとか、共用部分が汚れっぱなしとか、そうした状況になった責任はいったい誰にあるのだろうか。個々の住人にあるのだろうか。無責任な一部の居住者にあるのだろうか。オレはその責任は国にあると考えている。集合住宅はその性質上、よほどのことがない限り分譲という形態は取るべきではなかったのだ。勤労者である市民に安価で良質な賃貸住宅を提供し、通勤に便利な都市近郊や駅周辺に居住できるようにするためにこそ集合住宅は建設されるべきであったわけで、賃貸にしておけば家賃を滞納すればすぐに追い出せたのである。分譲という形でその所有権を買わせながら、管理費や修繕積立金という経費を家賃のように毎月支払わせるというのはどうか。分譲を認めずにすべて賃貸形式のみにしていたならば、現在分譲マンション故に発生している多くの問題は解消していたはずである。


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07月16日(水)
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