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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■きみはダム津波の恐ろしさを知ってるか?
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岩手・宮城内陸地震では大規模な地滑りや土石流が発生した。もしもこれらが大規模なダムを直撃したらどうなっていたのだろうかという疑問に答える記事があったのでちょっと引用したい。読売新聞のWEBサイトからの引用である。
荒砥沢ダム上流部からの土砂、ダム湖に流入して3mの津波に 岩手・宮城内陸地震
岩手・宮城内陸地震で起きた荒砥沢(あらとざわ)ダム(宮城県栗原市栗駒)上流部の大規模な地滑りで、土砂の一部がダム湖(有効貯水量1351万トン)に流入し、高さ約3メートルの津波を発生させていたことがわかった。
専門家は、さらに大量の土砂が湖面を直撃していれば、津波がダムを越え、下流域に大きな被害が出る恐れもあったと指摘している。
日本地すべり学会の宮城豊彦・国際部長(東北学院大教授)によると、地滑りでは東京ドーム56杯分の約7000万立方メートルの土砂が流出した。大部分はダム湖とは異なる方向へ流れたが、全体の約2%に当たる150万立方メートル前後が、斜面に遮られたりしてダム湖に流入、一気に湖面を押し上げたとみられる。
ダムを管理する宮城県によると、周囲の付着物の状況から、津波の高さは約3メートルと推定される。当時の水位はダムえん堤の最上部より10・9メートル低く、津波は越えなかった。津波が収まった後の計測で、水位は地震直前より2・3メートル上昇した。
栗駒山周辺は地滑り地帯が多いが、ダムえん堤付近は地滑り地帯を外れるように設計されていた。一方で、ダムを設計した東北農政局は「地滑りで津波が起きることは想定していなかった」とする。同県河川課は、ダムえん堤の安全性に問題は見つかっていないと説明している。
イタリア北部のバイヨントダムでは1963年、豪雨による大規模な地滑りで津波が発生。ダムを越えた津波は濁流となって下流域を襲い、約2600人が死亡した。宮城部長は「今回は間一髪、大惨事を免れた」と指摘。京大防災研究所の釜井俊孝教授も「土砂の流入量が数倍大きいか、流入した場所の水深が深ければ、津波がダムを越えた可能性が高い」と話す。(2008年6月29日03時12分 読売新聞)
この記事からわかることは、今回の荒砥沢ダム湖で発生した津波はたまたま3mで済んだためにダム本体を乗り越えることがなかったということであって、もしも土石流の規模がもっと大きかったりすれば、ダムの水が一気に溢れるような水害が起きないとも限らないのである。日本のような地震国で、そんな危険性がこれまで問題にされてこなかったことの方がオレは驚きなのだ。
揖斐川の上流部に建設されている徳山ダムなどは計画貯水量が日本最大となるわけで、浜名湖よりも多い水がそこにたっぷりと蓄えられるのである。もしも巨大地震が岐阜県北部で発生してダム本体に被害が発生した際、その巨大な水量が一気に下流に押し寄せればこれまでに例を見ないような悲惨な大災害になるのではないか。つまり、山の中に人工的に作られた巨大ダムは、地滑りや土石流が瞬間的に流れ込んだ際に大きな災害をもたらすリスク要因であるということだ。もしも徳山ダムが地震で崩壊して、下流域で多くの犠牲者が出た場合、いったいその責任は誰が取るのか。どんな被害になるのか。オレはそれを心配するのである。
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06月30日(月)
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