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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち14(クレディア)
サラ金といえば儲かってる業界の代表だった時代があった。チワワのCMで「サラ金」の悪いイメージは払拭され、お気軽に利用する人が増えた。銀行から低利で融資を受けた資金を年利率28%という高利で貸し出しして儲からないはずがない。大手サラ金は稼ぎに稼ぎまくっていたのである。ところが利息制限法のグレーゾーン金利の廃止により消費者金融各社はどこも厳しい状況に立たされた。金利が18%以下にされてしまうと武富士やプロミス、アコム、レイクといった大手でさえもかなりの打撃を受ける。ましてやシンキ、クレディアなどといった業界下位の資金力の弱いところは一気に苦しくなったのである。それは株価にもたちまち反映された。

 クレディア(8567)は関東・東海が地盤の中堅金融業で電話・インターネットによる振り込みローンで全国展開していた。会社四季報2007年第4集にはこのように記される。

貸金業法改正を受けて与信厳格化。貸付金残高は前期比20%超の減少。貸倒関連費用、利息返還関連引き当ては軽減。希望退職による人件費軽減効果は10億円超。一般経費も削減進めて営業益黒字化。

 ここにはちゃんと「営業益黒字化」とある。しかし、この四季報第四集が発売されたその日、クレディアは民事再生法を申請したのである。東証は即日クレディアの10月14日上場廃止と、それまでの整理ポスト入りを決めた。

 2005年12月26日、クレディアの株価は2258円だった。そこからはずっと下げていくのだが、2006年10月には794円から1282円へ20日間のうちに上昇するという相場が起きている。以後はまたジリ下げモードに突入し、2007年3月30日には606円、5月31日には430円、8月1日には258円まで下げた。そこから326円まで一旦上昇したがその機を逃さず大量保有していたグローブフレックスが10%近い保有株を売り抜けしてきたため下降し、8月末の株価は250円付近で膠着していた。ただその頃、この株は異常に空売り残が貯まっていたのである。その時点で空売りしていた人々の行動は正しい。その一ヶ月後に倒産したことを思えばその一ヶ月前に空売りをはじめるなんてすごい慧眼の持ち主かと思うのだ。しかし、空売りが増えてもそこから株価は下がらなかった。誰かがその付近で買い支えていたのかも知れない。株不足が拡大して貸株調達が困難になり、空売りしている人たちが支払う品貸料が上がり始めた。8月30日、クレディアの品貸し料(逆日歩)は1.5円となったのである。これは破格の金額である。

 逆日歩を払うのはクレディア株が下がると見て空売りを仕掛けている「売り方」だが、もしも買い方に回ればその逆日歩をもらうことになる。信用取引でこの株を250円で買えば、一日で1株あたり1円50銭もらえるわけで、長期保有すればかなりの金額になるし、逆日歩を払いたくない売り方があわてて返済買いすれば一気に値上がりするわけで株価上昇の条件はばっちりだった。オレもそれを期待して買った一人である。まだその時点ではクレディアが倒産するなんて夢にも思わなかったのだ。配当利回りもいいし。つぶれることなんかないからここまで値下がりしたら有望株だと思っていたくらいである。一日1円50銭の逆日歩なら一週間で約10円である。信用取引で買えば250円の株が260円になるのと同じことだ。そう思って徐々に買う人が増え、また空売りする人も増えた。逆日歩は8月31日持ち越し分は1円50銭だったが9月3日持ち越し分は3円に跳ね上がった。9月4日持ち越し分は週末を含むから三日分の逆日歩9円となった。数日間信用買いした分を持ち越せば逆日歩だけで15円ほど稼げた計算になる。それを払わされる売り方はたまらない。しかし、その空売りは返済されるわけでもなくむしろ増え続けたのである。


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09月15日(土)
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