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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■赤ちゃんを売る人たち
 日本のような豊かで医療体制の整ったはずの国でさえ、妊婦が病院をたらい回しにされあげくのはてに死産してしまうという悲劇がある。生まれてくる生命にとってこの世とはかくも非情で苛酷な世界なのかとオレは嘆くのだが、芥川龍之介の小説「河童」には、生まれてくる赤ちゃんに対して、本当に生まれてもいいかどうかを問いかける場面がある。そこで「生まれたくない」と答えれば生まれずに済むのである。

 その代わりに我々人間から見れば、実際また河童(かっぱ)のお産ぐらい、おかしいものはありません。現に僕はしばらくたってから、バッグの細君のお産をするところをバッグの小屋へ見物にゆきました。河童もお産をする時には我々人間と同じことです。やはり医者や産婆(さんば)などの助けを借りてお産をするのです。けれどもお産をするとなると、父親は電話でもかけるように母親の生殖器に口をつけ、「お前はこの世界へ生まれてくるかどうか、よく考えた上で返事をしろ。」と大きな声で尋ねるのです。バッグもやはり膝(ひざ)をつきながら、何度も繰り返してこう言いました。それからテエブルの上にあった消毒用の水薬(すいやく)でうがいをしました。すると細君の腹の中の子は多少気兼ねでもしているとみえ、こう小声に返事をしました。
「僕は生まれたくはありません。第一僕のお父(とう)さんの遺伝は精神病だけでもたいへんです。その上僕は河童的存在を悪いと信じていますから。」
 バッグはこの返事を聞いた時、てれたように頭をかいていました。が、そこにい合わせた産婆はたちまち細君の生殖器へ太い硝子(ガラス)の管(かん)を突きこみ、何か液体を注射しました。すると細君はほっとしたように太い息をもらしました。同時にまた今まで大きかった腹は水素瓦斯(すいそガス)を抜いた風船のようにへたへたと縮んでしまいました。(「河童」芥川龍之介より)

 果たして、人間の世界では赤ちゃんの人権が尊重されてると言えるのだろうか。わずか生後二ヶ月の赤ちゃんが虐待されて殺されたりというニュースを知るとオレは居たたまれない気持ちになる。いったい何のためにこの世に生まれてきたのだろうかと。そして生まれて間もなく親から引き離され、あるいは親によってわずかなカネで売り飛ばされるという悲劇もある。この記事はアサヒコムからの引用である。

赤ちゃん40人保護 人身売買グループ47人拘束 中国2007年09月08日01時46分
南京の地元紙「揚子晩報」によると、南京鉄道警察は6日、売買目的で親元から離された40人の赤ちゃんを保護し、人身売買グループ47人を拘束した、と発表した。中国では赤ちゃんの人身売買が問題になっているが、一度に40人が保護されたのは極めて異例という。
 調べでは、5月下旬、雲南省昆明市から南京に向かう列車を巡回していた鉄道警察官が、それぞれ赤ちゃんを抱いた中年女性4人が、全員母乳ではなく粉ミルクを与えている様子をみて不審に思った。南京駅に到着後に取り調べたところ、雲南省で人身売買グループから赤ちゃん4人を買っていたことが判明。追跡捜査で雲南省内の容疑者9人を逮捕した。
 同事件をきっかけに、同省など各地で大規模な捜査を行い、7月までに数カ所で赤ちゃん計40人を保護。容疑者らは金に困った親たちから、生まれたばかりの子を200〜500元(1元=15.3円)で買い取り、2000〜3000元で転売していた。赤ちゃんはさらに転売され、最終的に1万元以上で売買されていたという。

 3000円〜7650円で購入した赤ちゃんが、3〜4.5万円で転売され、最終的には15万円にもなるわけだからなかなかこの赤ちゃん売買業というのはいいビジネスということになるのだろう。こうして売買された赤ちゃんはその後どうなるのだろうか。オレはそれがどうも気になるのである。ちゃんと購入者から実子としてかわいがって育ててもらえるのならまだいいだろう。しかし、奴隷代わりの労働力として使われたり、売春をさせられたり性虐待を受けたりという目に遭わされることはないのか。実子と同じように育ててもらえるとしても、そうやって購入した赤ちゃんをどうやって戸籍に入れるのか。中国ではそれはどんなシステムになってるのだろうか。


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09月08日(土)
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