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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■中国にサラ金がやってきた!
中国にはこういうことわざがある。 「借書一痴、還書亦一痴」(本を貸すのはバカである。借りた本を返すのもまたバカである。)このことわざが意味することは明白だ。自分の貴重な財産である書物を人に貸すだなんて実にナンセンスなことで、その貴重な書物を一度手に入れてしまえば金輪際手放さないようにすべきだということなのである。このような価値観を持つ人たちが多数を占める国で、海賊版のゲームソフトが横行するのは至極当たり前のことだし、日本や西洋の「著作権」の概念がそのまま通用するわけがない。日本や西洋で当たり前と思われている価値観が中国では当たり前ではないのである。
そんな中国で消費者金融がビジネスモデルとして成り立つためには、返さない連中に対する乱暴な回収のノウハウが必要になってくる。踏み倒して逃げてしまう相手をどこまでも追いつめて回収し、場合によっては殺して臓器売買で回収するなんてことも起きるかも知れない。そうした恐怖を背景にすることで貸金回収ビジネスは裏社会とつながり、中国マフィアにも資金を環流させることになってしまうのである。
かつて隆盛を誇った日本の大手サラ金業者は、過払い金の返済などによって経営が圧迫され、いつのまにか武富士以外は大手の銀行の系列下に組み込まれてしまった。中国では逆に中国銀行や上海銀行という大手銀行が母体となってサラ金ビジネスを開始するわけで、スタートの時点で圧倒的な資金力を背景にしているのだ。これは銀行にとってはかなり収益を拡大するチャンスである。これまで住宅ローンでちまちま稼いで来たのがサブプライム問題の余波で一気に吹っ飛んでしまった。その分を取り戻させるために今回の中国政府による規制緩和=消費者金融業の認可が行われたような気がするのである。
おそらく一時的に金回りのよくなった人々の購買力が増して、中国経済が活況を呈するのは間違いない。しかし、それはあくまで「一時的」な現象であり、借りたゼニはいつか返さないといけないし、金利負担はこれから重くのしかかる。本当に景気が回復して人々の手取り収入が増えたわけではない。元金の返済どころか利払いすら不可能になってはじけるのは何ヶ月先か何年先か、いずれにしても確実にその日が来るのである。中国版サブプライムショックとも言えるべき将来の危機をはらんだまま見切り発車的に行われる経済政策に対して、オレはここで警告しておきたい。投資はすべて自己責任である。
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06月27日(土)
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