ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
[18830044hit]

■コンビニ元締めの横暴を許すな!
 公取委の命令によると、同社は加盟店に対して、弁当やおにぎり、総菜など鮮度が低下しやすい「デイリー品」を本部が推奨する価格で販売するよう指導。デイリー品の廃棄による損失を減らすため販売期限の迫った商品を値引きする「見切り販売」をした加盟34店に対し、本部側の担当者らが「契約違反だ」「このままでは契約の更新ができない」などと言い、見切り販売を制限したとされる。
 公取委によると、同社の会計方式では「デイリー品」を捨てた分の原価は加盟店側が負担することになるため、値引き販売ができないと加盟店の負担は大きくなるという。
 そのため、公取委がセブン側に作成を求めている「加盟店が見切り販売をする際のマニュアル」には、「販売期限の何時間前から、何円まで値引きをすれば加盟店が利益を確保できるか」などが具体的に記されることが想定されているという。
 一方、命令を受けて記者会見したセブン―イレブンの井阪隆一社長は「(加盟店と本部は)対等の立場にある。公取委とは見解の相違があり、残念だ。命令内容を精査し、慎重に検討したい」と発言。命令に従うか、あるいは不服として審判請求するか、明言しなかった。(小島寛明、五十嵐大介)

 わかりにくい方のために具体的に説明しよう。一個500円の弁当があるとする。その弁当の仕入れ値は300円とすると、一個売れれば200円の粗利が出るが、そのうち100円は元締め、そして100円が店側の取り分であるとする。この弁当を10個売れば店は1000円、元締めも1000円(正確には弁当の卸値−製造原価分も元締めの利益なんだが)儲かることになる。

 ところが10個のうち、1個が残ってしまった。この1個を廃棄したとすると、元締めの利益は9個分で900円だが、店は900円の利益から売れ残り分の原価を元締めに払わないといけないので300円を引かれて利益は600円になってしまうのである。廃棄するのが2個になってしまった場合は、元締めの利益は800円だが店は捨てる2個分の原価を負担しないといけないので利益は800−600=200円ということになってしまうのである。3個も売れ残ってしまったら200円の赤字になるしかない。そんな理不尽な仕組みがこれまでコンビニ業界の標準だったのである。元締めの命令で捨てる分にまでゼニを払わされるのである。

 しかも値引き販売が規制されてるから、大量廃棄はコンビニ元締めの方針なのである。店によっては月間500万円を越えるという廃棄品を出しているのだ。一日あたり10万円以上である。エコが叫ばれる時代になんという無駄遣いだろうか。それが店側の負担なんだから全くひどい話である。つまりコンビニ元締めは捨てる分までよけいに仕入れさせるという無駄をずっと慣行として続けてきたのである。零細経営者を犠牲にして巨額の利益を上げるというビジネスモデルだったのだ。

 そもそも弁当が売れないのは店の責任ではない。数年前のローソンではボクシングの亀田兄弟にちなんで亀田弁当なるものを並べていたが、そんなくだらない弁当で貴重な売り場を占領され、そのあげくに売れ残ったからと原価分のゼニもぼったくられるのだ。それでどうやって稼げばいいのか。

 ところが値引き販売を許せば、この収支状況は劇的に改善する。たとえ10個のうち3個売れ残って廃棄することになったとしても、その3個を原価の300円で販売できるならば900円入ってくることになり、店側は損失を大幅に減らせるのである。たとえ10個中3個が売れ残ったとしても、その廃棄費用をかぶる必要がなくなれば売れた7個分の利益である700円はしっかりと守れるということになるのだ。

 値引き販売を可能にした今回の決定で、全国のコンビニ経営者たちの苦しみはかなり軽減されるだろう。もちろん元締めの利益は減るわけだが、そもそもコンビニ経営者たちが苦しんでるのに元締めだけが儲かってウハウハというこの仕組み自体が間違っているのだ。自殺するコンビニ経営者たちはたくさんいるが、元締めの幹部連中がノルマに追われて死亡なんてニュースは少なくともオレは聞いたことがない。


[5]続きを読む

06月24日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る