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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ジョイントコーポを破綻させた黒幕は誰か?
 ジョイントの東海林社長は昨年夏の時点で民事再生の方向を模索していた。2008年5月の前期決算発表時に出した「2年間で1000億円の棚卸資産の圧縮と有利子負債の削減」という計画なんてとうてい不可能だということは社長の彼には最初からわかっていたのである。彼はジョイントの影の親会社である持ち株会社ジョイント・リビングサービスのオーナーとして莫大な現金・預金を保有しており、彼なりの生き残り策もちゃんと考えていただろう。ところがその時点で民事再生されてしまうとメインバンクのみずほコーポ銀行は貸したゼニが返ってこなくなる。そこでみずほコーポはオリックス宮内に働きかけ、100億の見せ金(普通株40億+優先株60億)で救済劇を演出させたのである。本当なら昨年9月につぶれていたはずのジョイントは約9ヶ月延命された。この時間稼ぎの9ヶ月の間にみずほは債権回収を行い、オリックスは美味しい物件を引き抜いた。そのあたりが真相ではないだろうか。こんなことは調べればいくらでも証拠が出てくるだろう。

 今年1月、ジョイントは早期退職を募集した。受付初日に大量の応募が出たという。社員にも会社の末路は見えていたのだ。オリックスの救済なんて絵に描いた餅であり、ハイエナのように食い荒らされて終わるということを。主力のマンション、アデニウムはどんどん値引き販売された。もっともいくら値引きされても倒産する会社のマンションなんてあまり買い手がつくとは思えないのだが。

 ベテランの社員が抜け、戦力にならない素人社員たちには残された大型プロジェクトである「VINOWA(京都駅前再開発)」も「宜野湾リゾート開発」も「アデニウム熱海タワー」など、とても無理だったのである。もちろんそんなことはオリックスは百も承知だったし、みずほコーポ側は再建なんか端から考えて無くて債権回収だけが目的である。取れるモノを取りきれば後は用なしである。あっさりと切り捨ててしまったのである。

 ジョイントが破綻した理由として、不動産流動化事業の失敗があげられる。確かに2008年3月期にはこれが本業のマンション分譲の収益を上回った。しかし、倒産の真の原因は本業であるマンション分譲事業の破綻なのだ。在庫のマンションをとにかく売るために、ジョイントグループの社員は全員がすべての分譲物件の販売応援に駆り出された。週に2回はエリアごとのポスティングをさせられていたのである。それでも売れない。売れないのも当然である。都心部のマンションがどんどん値崩れしているのに、今時熱海に億ションを購入するような酔狂な馬鹿がいるだろうか。

 1月8日、ジョイントの全管理職は召集され、そこで東海林社長とオリックスから派遣された松崎氏の演説を聴くことになった。この松崎氏はオリックス不動産社長の身分でありながら、昨年秋に東海林社長と同格の代表取締役に就任している。その演説の中で松崎氏は「給与体系見直し(大幅減給)・早期退職募集の説明」という形で再建への決意を目黒本社に集まった幹部社員に白々しく語ったという。ジョイントの会社更生法申請直前に、これらオリックスからやってきた3名の役員は一身上の都合により辞任している。やってきて散々かき回してハイさようならである。とっても怪しくないか? 再建への決意はいったいどこへいったんだ? 今回選任された保全管理人の新保克芳弁護士をググって見るとライブドアの顧問弁護士を辞任したヤツじゃないか。こいつもオリックスと何らかの関わりがありそうだ。あるいはオリックスの傀儡として送り込まれたのかも知れない。

 京都駅前再開発の「VINOWA」だが、今は清水建設の所有ということになっている。このプロジェクトにジョイントは全くゼニが払えなかった。竣工時払い100%で契約しているのである。総事業費600億とも言われるこのプロジェクト、いったい清水建設はどれだけのダメージを受けるのだろうか。ただ、企業体力からしていきなり倒産なんてことはないだろう。かなり厳しいのは確かだが、どうせゼネコンが倒産しそうになったら国が救うに決まっている。西松建設と小沢一郎や二階俊博を見てもわかるように政治家とゼネコンは持ちつ持たれつの関係だからだ。


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06月21日(日)
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