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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■高速道路料金を下げればどうなるのか?
 兵庫県三木市の運送会社は昨年秋以降、運転手30人に「会社のために深夜割引を使え」と厳命している。受注は減り続けているが、月額700万円を超えていた高速料金は割引利用で約450万円まで圧縮でき、社員の給料カットを回避する一助になった。運転手60人を抱える名古屋市の運送会社は、「深夜割引が始まるまで料金所を出るな」と指示しているという。幹部は「生き延びるためには、違法駐車でも待つしかないんだ」と話した。(山田正敏)(2009年1月25日03時10分 読売新聞)

 料金支払い時に深夜割引が適用されるまでの時間を稼ぐためにSAで待つわけだが、SAの駐車スペースがいっぱいになってるので路肩で待つのである。オレは「路肩で待つ」ことが駐車違反して注意を受けることよりも、「SAの駐車スペースが足りない」ことの方が問題であると思うのである。なんのためにSAがあるのか。それは運転中に疲れたドライバーが休息を取ったり食事を摂ったりするためであり、安全確保のために不可欠な施設である。その施設のキャパシティが足りないのなら、それは高速道路を整備する側の問題であり、深夜割引によって時間待ちするトラックが増えてSAやPAが混雑するのなら、その解消のために駐車スペースを増設すべきではないのか。オレはそう思うのである。ここでの問題点は、利用するクルマの台数に比して、あまりにも駐車スペースが足りないことなのではないか。

 そしてインパクトにおいてはこの深夜割引どころではないのが第二次補正予算に盛り込まれている地方の高速道路の1000円均一料金である。これが実施されればどうなるのか。それを利用するためにどんな混乱が起きるのかとオレは気になるのだ。もちろん平日に一切運送会社のトラックが走らなくなるということはないだろう。指定された納期に運ばないといけない時は平日・休日を考える余裕はない。しかし、金曜や月曜に移動する場合、時間を調整してそれを土日にする動きは起きるだろう。その結果週末の高速道路が異常に混雑するという現象が起きるかも知れない。どうやってそれを防げばいいのだろうか。混雑して大渋滞が発生すれば今度は逆に時間が余計に掛かるようになってドライバーたちの負担は増すのである。こうしたマイナス面を何も考えずに麻生首相はこの「1000円均一料金プラン」を出してきたのだ。

 それからもう一つ心配なのは、1000円均一料金というのは途中下車しない場合であり、途中下車しないでできるだけ遠くまで行くためにはSAの役割がさらに重要になってくるのである。利用者数に比べてどちらかというとキャパシティ不足の状況にある今のSAの貧弱な施設をそのままにして、料金の割引だけを行った場合どのような混乱が起きるのか、オレはそれを不安に思うのだ。

 地方の高速道路の均一料金が実施された場合、それを利用して旅行する人が一気に増加するだろう。

「讃岐うどんを食いに香川に行く!」
「会津に行って喜多方ラーメンを食いに行く」

などというドライブデートもコストがかなり下がるのである。利用者が増えないわけがない。クルマを使う人が増えればCO2排出量も一気に増えて地球温暖化を加速することになる。もっとも昨年から落ち込んでいたガソリンの売上高が回復することは一時的には石油業界に寄与するだろうが。

 現実にどんな混乱が発生するのか。何が起きるのか。そんなことをろくに検証することもなく思いつきで次々と政策は実行され、その結果現場の人は対処に苦しむことになるのである。オレはそれを今から憂うのである。

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01月25日(日)
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