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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■失われた79年間について
79年間の人生の中で、彼女は自分にとっての居場所を築くことがなぜできなかったのか。たとえ貧しい一人暮らしであっても、近所に親しい人がいて、自分を支えてくれる友人が居て、社会に関わって暮らしているならば、ちゃんと彼女を必要とする世界がそこにあったはずだと思うのだ。
ニートが増えて、パラサイトシングルも増えて、ワーキングプアと呼ばれる人々も増えて、もしも将来ひとりぼっちになった時、あるいは働けなくなったときにどうなるのかという不安を抱えた人たちが増加している。この北川初子容疑者のような境遇が、今ニートをしている多くの人たちの数十年後の姿かも知れないのだ。そう考えたとき、この事件を「変なババアが起こした迷惑な事件」という形で処理することはできない。今回の問題は今の社会が抱えている状況のひとつの未来像だからである。
人は不断の努力で社会の中に自分の居場所を確保しないといけない。それは事実だ。しかし、大企業が正社員を減らして派遣社員や契約社員、パートタイマーに置き換えていき、社会が構造的に多くの人々から「安定した生活基盤」を奪いつつある今、その雇用状況がグローバルスタンダードであるとしても、オレには納得できないのである。構造改革という名の下に多くのコストが切りつめられ、公務員や大企業の正社員以外の人々の生活が犠牲になっていく。しかもその状況は今後もさらに進行していくのである。どうして政府はこんな時代だからこそ「正社員率を上昇させよ!」と表明しないのか。日本の企業トップとしての責任を果たさず、偽装請負を開き直るクソみたいなオッサンを経団連会長にしてるのか。
大学は増えすぎた。そうして粗製濫造された大学には将来ニートにしかなれないような学ぶ意欲の少ない学生たちが通い、その高額の授業料のために親たちの資産は食いつぶされる。そのゼニを職業教育のために使うことができればその後でもっとまともな人生を設計することができただろう。また、短大や専修学校にも、やはりおよそ働くことに適さない無数の学生たちが居る。ろくに漢字も読めず、ろくに本も読まないくせにホワイトカラーとして事務職を希望してるのである。その一方でものを造る現場では労働力が不足して外国人労働者や研修生に頼るという状況が生まれている。コンビニやファミレスは慢性的な人手不足である。しかし、そこでの労働で得られる収入は、自分一人の生活を維持するのにも不十分な金額でしかない。なんで学校教育と就職をこんなに乖離させちまったんだ。
こんな世の中をどうやって変えていけばいいのか。オレにはいったい何ができるのか。こうして暴言日記を書き続けることで何かが変わるのか。今の政治家どもにはこの状況がわかっているのか。空前の利益を上げながらそれを労働者に還元しない企業トップたちは日本をどのようにしたいのか。あの経団連会長の便所野郎はいったい何を考えてるのか。オレは途方に暮れるのである。
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08月23日(土)
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