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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち14(クレディア)
 クレディアは逆日歩が3円に跳ね上がった9月4日にいきなり285(+33)と上昇を開始した。逆日歩9円をつけた9月5日には335(+50)と上昇して東証一部の値上がり率1位となった。出来高も1600万株に膨らんだ。ふだんのこの株が取引される量の20倍以上である。この日、東証は新規空売りの禁止という規制を行ったのである。その日、逆日歩9円を目当てに大量の信用買いが発生していた。新規の空売りも多かったが、買いで入った人が多すぎた。信用取り組みは大きく悪化した。 

 規制翌日、株価は350円で寄りついた。空売りして居た人たちの中にはそこからさらに踏み上げられることを怖れて慌てて返済する人たちが続出し、株価は357円まで上昇したが、そこからは大量の売りに押されてジリジリと値を下げた。304円まで下げた後リバウンドが狙われてやや上昇したところでなんと外資によるクレディア株の大量保有が発表されたのである。株価は334円(−1)で引けた。今回の相場の仕掛け人はその外資、ブラックロック・ジャパンだと誰もが信じ、そこが売り抜けるためにさらに株価を上昇させるのではないかと多くの人が期待したのである。

 しかし、多くの期待を裏切ってクレディアは9月7日、特売り気配から314円(−20)で寄り付き、そこから323円まで上昇する瞬間もあったが、引けに掛けて次々と投げ売りされて結局285円(−49)で引けた。翌日からは281円、268円、262円、250円、247円とジリ下げする一方だった。そして247円をつけた9月14日夕方に民事再生法申請が発表され、東証はクレディア株の上場廃止と整理ポスト入りを発表した。外資による大量保有で一相場が起きると期待してホールドしていた個人株主たちは逃げるチャンスを失ったのである。

しかし、本当に個人投資家は逃げられなかったのか。逃げ切れなかったことは危機管理の甘さゆえではないのかとオレは思うのだ。開示された情報の中には倒産前日の9月13日16:24に発表された大量保有報告書がある。石尾頼央などの保有株が減少して6196820株になり、保有比率が26.70%(前は27.05%)に低下したとある。この石尾頼央というオッサンは他でもないクレディア社長である。少なくともこの開示された情報は多くの投資家に明らかになっているのである。社長自らが持ち株を貸し出したり売ったりする会社にろくなところがないというのはもはや常識である。その情報を知っていたのに売り抜けなかった者、その情報をきちっと確認しなかった者は既に投資の世界の敗者である。

 なぜクレディアが大量に空売りされて信用取組が大幅売り長になったのか。業績が良くて株価がどんどん右肩上がりに上昇していくと思えば誰も空売りなんかしない。この会社は危ないと思ったからこそ多くの者が空売りしたのである。その大量に貯まった空売りを利用して最後の踏み上げ相場が仕掛けられただけのことである。仕掛けた本尊はおそらく335円に上昇した日に大量の空売りを入れ、翌日のGU(ギャップアップ、いきなり窓を開けて高値で寄りつくこと)時に買い上がった現物株をぶつけて終了させ、後は空売り分の利益を徐々に確保する算段だったのだろう。

オレは249円で買ったこのクレディア株をもったいないことに310円台で売却してしまったのである。その後に新規空売り禁止になったことを知り、「売り禁なら大相場になるだろう」と期待して寄り付きから買い注文を入れ、350円で買えたのだが結局大きく下げたので翌日に311円で損切りする羽目となった。しかし損切りだけで済んだオレはある意味ついていたのだ。もしも「いつかは上昇する」と信じてホールドしていたらどうなったかと思えばぞっとする。オレはたちまち数百万の損失を抱えてしまっただろう。投資は勝つことよりも負けないことの方がはるかに重要だ。オレは「この動きならもうダメだろう」と判断してクレディア株を損切り売却した自分の選択が正しかったことを思う。


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09月15日(土)
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