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サッカー観戦日記
by T.K.
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■高校選手権2回戦 佐野日大−奈良育英 盛岡商−履正社
佐野日大は3番が強烈な潰しと高さがある。これは4番にも言える。この両ストッパーはあまり考えてプレーしてないな、という印象もあるが、そもそも奈良育英が単調だったのでこのゲームについては十分である。5番はしっかりカバーして視野も広い。ただし佐野日大バックラインは攻撃面での貢献は少ない。強烈なのがボランチの18番と14番。常に集中力を保ち危険を察知して潰す。14番は左足セットプレーまでありカウンターの起点になっている。18番も奈良育英インサイドを圧倒。しかもこの二人は上がらないので奈良育英に全くスペースを与えない。もちろんその分攻撃は薄いが「超守備的」というのが佐野日大のゲームプランだから。10番はエースだがポストは全くない。ポジション柄やらなくはないが適性がまるでない。とてもセンターフォワードに見えないと思ったら後半途中で右シャドーに移った。ピタッと止めて次の攻撃に移れるいい選手。たぶん攻撃に人数を割くチームのほうが活きるのだろうが、孤立気味でもドリブルがあるから対応できている。26番は左からの仕掛けで光るものがあるがコンスタントには輝かず、原石という印象。11番は普通の選手だが、よく走り戦う好選手。
奈良育英は基本的に蹴って走るチーム。バックラインは全く繋がない。いや繋げない。佐野日大はあえて超守備的なスタイルを採用しているが、奈良育英には選択の余地がない。それくらい技術で落ちる。特にセンターバックコンビは足元が怪しい。だから長いボールを蹴るのだが、ロングパスの精度もないので基本的には佐野日大にボールを渡す形になる。ベンチも「蹴れ」「放り込め」と声をかけているのだから納得の上だし、そもそも技術がないチームはちょっと前から追われたら蹴る以外に何をしたらいいのか分からなくなるものだ。インサイドは9番が戦うタイプだが屈強な佐野日大ボランチに競り合いで全く勝てず、特に空中戦はほぼ完ぺきに負けていてイライラしていた。3番もそう。この二人身長はまずまずだが登録で体重は50キロ台前半。本当かどうかわからないが、とにかく佐野日大の14番と18番とは体つきが違い過ぎる。体重差が20キロあってはとても勝負にならない。2番は右サイドで突っ込みたいタイプだがスペースがなさすぎる。8番は上手い。トップ脇。唯一変化をつけられる。奈良大会ではボランチで、このため奈良育英は繋ぐこともできたが、全国ではFWなので前線で違いを見せてくれ、ということだろう。アイディアがあっていかにも来年の10番である。というか奈良育英で唯一全国で、少なくとも佐野日大相手に渡り合える技術がある。14番は懸命にポイントに走り、点を狙うが身体をねじ入れる強さはない。
さて双方ロングスローとセットプレー以外では厳しそうな展開が続く。気難しい、あるいは日本の育成を憂いている人が見れば眉をひそめる内容である。つまらないゲームと評する人がいても不思議ではない。私もこのゲームは好みではないが、あいにく好みの範囲そのものが広いので楽しめる。つまり双方慎重ながら守備陣に危なっかしさもあるので盤石ではなく、決してレベルは高くないゲームにありがちな危なっかしさがあり、ある意味手に汗を握る内容なので、退屈はしないのだ。ベンチもそのことは分かっていて、限られた戦力で全国で勝つためにこの選択をしている。前半0−0。

ハーフタイム、奈良育英はボランチに26番を入れる。奈良大会では唯一8番についていける感性を持った選手。まだ1年生で身体もなく潰せる選手ではないが、そもそもつぶし合いでは佐野日大に勝てないということは前半で分かったはず。納得の采配である。佐野日大も11アウト9番イン。センターフォワードに入り10番が右シャドーへ。これも納得。後半も佐野日大ペース。奈良育英はほとんどシュートがない。佐野日大もシュートは少ない。このままPK戦かと思われたアディショナルタイムにたまに輝く佐野日大26番がドリブルから9番に通しシュートが決まり1−0でそのまま勝った。奈良育英はPK戦しかチャンスがなかった。


高校選手権2回戦
盛岡商業高校−履正社高校
12月31日 西が丘 14時 ピッチ良 曇 主審 佐々木慎哉 3159人


盛岡商 履正社
GK 1 小原 健暉 GK 1 ジョン カミィ 信 バー

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12月31日(土)
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