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Ship Building
by コーヒー
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■弟からの電話
弟から、電話があった。
……オカンが、ガンになった、と。
先月の三連休、オカンが病院で検査を受ける話をしていた。
健康診断の結果が良くなかったからと。
肝臓が悪いという話なので、やっぱり酒の飲み過ぎだよなぁと思っていた。
ウチは生活習慣病の家計で、特に糖尿が多い。ガンになった人はこれまでいなかった。
故に、青天の霹靂とはまさにこのことだ。
…思い当たる節がある。
オカンは過去に、C型肝炎ウイルスのキャリアかもしれないと言われたことがあった。
ウチを身籠っていた最中に卵巣水腫の摘出手術を受けた際に輸血した経験があるし、学校で集団予防接種を受けていた世代だからだ。
しかし「誤診やろ」と言って再検査もインターフェロン治療も受けていなかった……オカンは昔から病院嫌いで、どんなに具合が悪くても絶対に病院に行ってくれない。
待ち時間が長いだの、他人に身体を触られるのが嫌いだの、寝てれば治るだのと屁理屈こねて連れて行こうとすると暴れた。
しかし、肝細胞ガンは、寝て治るものではない。
いくら病院嫌いでも、今回こそはきちんと通ってもらわないと命に関わる。
ウチの実家にはいま、事情により御歳百歳になるばーちゃんがいて、オカンが在宅看護している。
オカンが倒れてしまったら、誰もばーちゃんの面倒を見られなくなってしまう。
腫瘍のサイズは大き目だが、幸いなことにステージ1だそうだ。
これから何度か検査を受けて、治療方針を決めるのだという。
早めに見つかってよかった、とこの時は安心していた。
…そしてこの先、ガンを甘く見てはいけないことを、家族全員、後悔することになる。
10月09日(日)
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