ID:30769
Ship Building
by コーヒー
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■道標
夢を見た。
小さなコーヒーがいる。
誰かに質問されてる。
「コーヒーちゃん、大きくなったらなにになりたいの?」
コーヒーは絵を描きながら笑顔で答える。
『まんが家!』
コーヒーが、どんどん成長していく。
笑いながら、絵を描きながら、大きくなっていく。
同じ質問が何度も繰り返される。
コーヒーはその度同じ答えを返す。
何度目かの質問を受けた時。
コーヒーは黙り込んだ。
「なにになりたい?」
『コーヒーは…コーヒーは』
そこでコーヒーの成長が止まった。
コーヒーはセーラー服を着ていた。
コーヒーが絵を描く手を止めた時、目が醒めた。

……コーヒーの精神年齢は、14歳で止まっている。
夢もそれを証明した。

なりたいものになるために、なにが必要なのか。
あの頃、それをおぼろげながらにでも知ることができたら、コーヒーは夢に向けて頑張ったことだろう。
高校受験の時、コーヒーはもう既に見失っていたのだ。
自分の未来を。
自分自身を。
なぜ勉強しなくてはいけなかったのか?
コーヒーの疑問がずっと解けることはなかった。
その理由が解ったのは、社会人を何年も経験してからだった。

親が敷いたレールの上を歩くことが幸せにつながるかといえば、決してそんなことはない。
しかし、ずっと放置されていても、子供には何の未来像も見えてこないだろう。
親の存在は重要なのだ。

賢くおとなしいが何を考えているかわからない子ほど、危険だ。
人生を見失っている。
08月02日(水)
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