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Ship Building
by コーヒー
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■逃亡者
「お前が、だんだん育ってきたからな。
今の俺は、お前が成長していくのを支えてやれるほど強くないんや。
俺、ちっちゃいなぁって。
俺は、お前から逃げたんや」
……ああ、そういうことね、と、妙に納得してしまった。
彼は根性なしな一面もあって、すぐに投げ出す悪い癖も持ってる。
でも、投げ出すのと逃げるのは、違う。
彼、プライド高いんだよね。
逃げるのは、きっと彼のプライドに反することだろうから。
「平気そうに見せてるだけで、実際はしんどいよ」
彼のコーヒーから逃げたっていう台詞が本心から出たものだとすれば、彼は逃げるという決断を下すのに、結構辛い思いをしたのかもしれない。
そう思うと、彼をちょっぴり赦してあげられそうな気がした。
それに、投げ出したなら、友達になりたいとか言い出さないんじゃないかなって。
「大事に思ってなかったら、もう速攻縁切ってるよ」
でも、逃げられたことに変わりはなく。
ああ、また、逃げられちゃった。
コーヒーは、あとどれくらいの人に迷惑をかけたら、一人前になれるんだろうね。
06月24日(土)
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