ID:30769
Ship Building
by コーヒー
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■話しかけたら/2人分の
タイミングが悪すぎて。
「ほっといてくれ」と言われちゃった。
悪気はないのかもしれないけど、やっぱちょっぴり悲しい。

まあ、タイミングは重要よね、うん。

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彼がまた部屋に来てくれたときのために。
ふたり分の食器を、幾つか揃えてた。
彼がまた部屋に来てくれたときのために。
灰皿用の珈琲のビンが、軒先に置いてあった。
彼がまた部屋に来てくれたときのために。
毎日お部屋を掃除してた。
彼氏としか使えないようなアイテムも、お部屋にいくつも転がってる。

でも、もう、彼がこの部屋に来ることは、ないんだよね。

一緒にすごした10日間も。
一緒に過ごしたクリスマスも。
彼が思い出すことは、きっともうないだろう。
来年の6月には契約が切れるし、コーヒーはきっとこの部屋から出て行くことになる。
みんな切ない想い出に変わってしまう日が、いつか来る。

煙草と過ごした日々が長い時間をかけて想い出に変わったように。
彼と過ごした記憶も、少しずつ風化していくんだろうか。

涙が零れる。
05月21日(日)
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