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雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■黙っておくべきでしたか
相談に乗った御礼にと、
折角彼女の方から誘ってくれたデートなのに、
さっきからこの子は、
何をしていても半分上の空。

親友の彼女であって、
この子に恋愛感情は全くない。

けれども弱っている知り合いを目の前にして、
放っておけるわけはない。



悲しくて・・・
そして失礼なことだけれど・・・

俺も親父が死んだとき、
全然実感が湧いて来なかった。
泣く事も出来ず、
身動き取れずに何もできなくなった。

だから彼女が、
世話になった先生の自殺を受け止めきれずに、

「あんまり実感がないんです・・・」

そう言った時の気持ちが、
痛いほどわかる。

 目一杯楽しませてやろう・・・
 後で目一杯悲しむことができるように・・・

この子には気持ちのメリハリが必要だと思ったんだよ。



この子にとって「温泉」は、
何年か前にみんなで過ごした楽しい思い出。

だから「次は温泉でも行こうか?」と、
俺はこの子を誘ったんだ。


 貴女と行きたい温泉とは全然違う温泉。
 この子と二人で行く必要は全くない温泉。


けれど温泉には違いないから・・・
貴女が嫌がるなら本当にやめても良い。

この子に楽しさを与える手段は、
他にもあるんだから。
11月10日(土)
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