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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■映画エッセイA(金城武という文字について・4)●「十面埋伏」撮影は少しの間お休み
映画エッセイA(金城武という文字について・4) 7:40

金城武が最も良い演技を見せたのは「不夜城」だと言う人は多い。
後になって、僕は「パラダイス!」という作品を見つけた。
事実、「不夜城」での金城武の演技は、
「パラダイス!」のそれと比べると、確実に上だ。
「不夜城」は確かに彼の最良の作品だし、
他の人間との違いを見せるつもりで異論を唱えようとしても、
それは無理だろう。

「パラダイス!」はパトリック・ヤウの監督で、ジョニー・トー色が濃いには違いない。
この映画はとにかくぐらぐら揺れ通しで、
まるでウォン・カーウァイのプロデュースみたいだが、
どうやらジョニー・トーはウォン・カーウァイが一番きらいなようだ
――おっと、話がそれた。

パトリック・ヤウはこの映画で、金城武のエキセントリックな面を極限まで引き出した。
もちろん、武はウォン・カーウァイのもとで基礎を作った後だから、
とても自然に、徹底的に発揮している
――授業を受けたからには、前より出来が良いのは当然だ。

「パラダイス!」は脚本が面白く、僕は見ている間、ずっと笑っていた。
時には微笑であり、時には声をあげ、
モニター画面に向かって吹き出してしまったりもした。
ラストでは、目がうるむのを感じ、振り向いて部屋に自分1人なのを確かめたら、
涙があふれてきた。

「不夜城」を見たときは、笑いも涙もなく、
見終わったあと、思わず身震いが出ただけだった。
「不夜城」の健一は氷と火、動と静を併せ持つ、非常に難しい役だ。
「パラダイス!」で、武はある特質を極限まで見せた。
しかし、これは彼にとっては、つまりは手慣れた仕事である。
だから、いかに笑わせ、泣かせたとしても、
「不夜城」の武の演技の方が、やはりまさっていると思う。

初めて「パラダイス!」を見たとき、僕はパソコンの前で椅子に腰かけ、
女の子なんかのように大きな枕を抱えてた。
武が、博打で勝ってもすっても、ただ赤い両の目で、
カジノのボスを見つめたままなのを見て、僕は微笑した。
その2つの目はボサボサの髪の奥で、緊張した豹――仔豹のようだった。
もし僕がボスだったら、その目を見たら、最初は手下に彼をぶちのめさせ、
放り出しただろう――僕も平凡な人間だ。
2回目なら彼をにらみつける。
3回目には、その頭をなでてやるだろう。
本当に可愛いいんだ。

武がカルメンと五つ星のホテルを訪ねるシーンで、僕は微笑した。
僕がもしあのホテルの支配人だったら、最終的には彼らの宿泊を受け入れ、
30分後に2人の部屋の戸を叩いて、コンドームの箱をプレゼントしてやるだろう。

武がカルメンに髪を切られてへんちくりんな髪型にされたとき、僕は微笑した。
もし僕がカルメンだったら、彼をさっさと熟睡させ、すね毛を剃り、
眉を剃り落とし、ヒゲを剃り、鼻毛を切るだろう。

パソコン椅子にうずくまって、僕は何度も微笑した。
どの部分でだったかはもう忘れた。もう長いこと見ていない。
マフィアのボスが3度めにナイフで指を切り落とされたときも、
他の連中と同じように、画面に向かって吹き出してしまった。

武がカルメンをあざむいて、他の場所に連れて行き、自分が任務を果たしに行ったとき、
僕は周りに人がいないかチラッと見て、涙を流した。
感動したんじゃない、すごく嫉妬したのだ。
この頭のおかしな若造が、なんと死んでもいいと思える相手を見つけたんだ。

ついでにちょっと言っておくと、頭のおかしい、善良な人物としては、
武はエリック・コットの「初恋」にも登場する。
映画は地震みたいに揺れどうしだが、この映画のプロデューサーは、
まさしくウォン・カーウァイだった。  (次回完)


「十面埋伏」撮影は少しの間お休み 14:20

「十面埋伏」の北京のセットでの撮影が始まって以来、マスコミが潜伏、
特に12月が近づき、アニタ・ムイが北京に来るというので、
中国国内のマスコミが集結中であるばかりか、
香港や台湾からも記者が大勢来ている。

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11月26日(水)
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