ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■リスク評価と言ってもなあ
みずほ銀行のシステム障害でATMが止まったのは、特定の口座の取引が急増したのが原因だそうです(これは本当)。義援金の受け付け口座に振り込みが集中したのが原因だという話も伝わってきており、(それが本当だとすれば)これもまた一つの美談と言えるかもしれません。でも娘の塾代金が振り込めなくて僕は困ってますけど。

原発への放水作業が行われたり、原発に送電線をひきこんで冷却機能を回復させるニュースがありました。原発関係ではしばらく良いニュースを聞かなかった(悪いニュースばかりだった)だけに、「これで底打ちにして欲しい」と切に願います。(時間がかかり復旧は早くても19日というニュースが入ってきました)。放射線業務従事者が1回の緊急作業で浴びる放射線の上限は100mSvと法律で決まっていますが、今回はそれが250mSvまで緩和されています。暗に犠牲を求められているということです。

現状では、現場から20Km圏からは退避勧告、30Km圏内は屋内待避の指示が出ています。ところがアメリカやイギリスは日本に住む自国民に対して60Km以遠への待避を勧告しています。この差はどこから生じるのか。

フランスやドイツはすでに自国民の日本からの国外退去を勧告しています。フランス政府はエールフランス機をチャーターして国民を引き取りに来ているという徹底ぶりです。アメリカ政府は日本への渡航自粛要請を出しました。各国が大使館機能を東京から関西へ移しています。逃げる場所のある人、逃げられる人たちは安全側に寄った判断をするものです。一方逃げることが簡単ではない当事者国日本は、それよりもリスク側に寄った判断をせざるを得ないのは当然とも言えます。

いつも拝見しているFast&Firstのブログに、ドイツの有名な週刊誌「デア・シュピーゲル」のサイトが紹介されていました(ニューズウィークみたいな印象の媒体です)。
こちらのページ
http://www.spiegel.de/panorama/0,1518,751072,00.html

上の線グラフは福島第一原発での空間放射線量の推移。二番目のグラフは(クリックするとアニメーションするページに移りますが)、風によって放射性物質がどのように運ばれるかを予測したものです。もちろん、封じ込めが成功すれば飛散を心配する必要はありませんし、より深刻な固体の放射性物質(の飛沫)はそう遠くまで運ばれるものではありません(だからこそ○○Km圏外へ退避というのが有効です)。けれど、今後何かあったときには、その時の風向きが大事だということはわかります。

地震から一週間経った今も余震は続いています。はじめの頃、福島の原発では直しても直しても、また余震で壊れてしまう繰り返しだったと伝えられています。震源から離れた僕のいるところでも、しょっちゅうゆらゆらと周期の長い揺れを感じます。それで地元の断層も刺激されたのか、規模はM2~3と小さいものの、ごく浅い震源の直下型地震が日に数回あってガガガと揺さぶられます(ここは糸魚川静岡構造線の直上)。

こうなると「地震酔い」といって、揺れてないのに揺れていると感じる平衡感覚の異常が発生する、と新聞で取り上げられていました。

現状は安全なのか危険なのか。それは何とも言えません。そもそも低い被曝線量で人体にどれぐらい影響があるか結論がでていないのです。危険があるという研究者と、安全だという研究者の、どちらの話に耳を傾けるかは聞き手の選択になります。

逃げられる人は逃げればいい。でも、僕も含め多くの人たちは、いまの場所に留まって日常生活を続けるしかありません。たぶんそれでまったく問題ないという可能性は十分にあります。とはいえ、確率論で不安が払拭されるわけではありません。いまの東日本を覆っている沈滞した雰囲気はそこに原因があります。日常通りの生活が求められているものの、非日常は着実に気分を浸食しているのです。

ともあれ、原発の電源が回復して冷却できるようになり(そうならなければ困るし)、余震がある程度収まって、被災地に救援物資が行き渡り、仮設住宅など復興の話になってくれば、こうした雰囲気も軽減してくるでしょう。


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03月18日(金)
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