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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■幸せへの道
より多くを持っている方が幸せになれる、という考え方は間違いではありません。
財布の中身が空っぽより万札がたくさん入っていた方が良い。テストの点数だって0点より100点の方が良い。そうしたいろいろを獲得するために「能力」が役に立ちますから、「能力もたくさん持っていた方が良い」ということになります。
おそらくだからこそ、「あなたには〜の能力がない」と言われれば、人は幸せになる道を断たれたかのように感じてしまうのでしょう。
アルコール依存症は「酒を正常に飲む能力を失う」病気です。
「あなたにはもう酒を正常に飲む能力がない」と言われれば、それを素直に受け取れずに抵抗する人もいます。なんとかうまく酒を飲もうと実験を繰り返す人もいます。
ない能力があるかのようにふるまい続けていると、酒によるトラブルは避けられず、やがていろいろなものを失っていきます。仕事、家族、財産、社会的地位・・・。
能力がないことを受け入れられれば、酒をやめる努力ができるし、酒で得ていたメリットを別の手段で得るように訓練することもできます(その手段が山登りでもいいじゃないのさ)。酒のトラブルは避けられ、本来のその人の人生を生きるという幸せが実現されます。
その能力を持っていないことを認めることが、幸せへの道です。
発達障害についても同じことが言えます。発達障害というのは、何らかの能力を弱める形で発現します。だから、「あなたには〜の能力がない(あるいは弱い)」という形で告げることになります。それが可哀想だという人もいますが、ない能力があるかのように扱うことは、かえってその人を傷つけることにしかなりません。
能力がないことを受け入れられれば、対策が打てるようになります。訓練で苦手な能力を伸ばすこともできるし、代替の手段を使うこともできます。服薬で改善されることもあります。得意なこともあるのですから、そちらの能力を開花させて職業につなげていくことも可能になります。
こうしてみてみると、能力を失うことは残念なことですが、その人から幸せを奪っているのは「能力の喪失」そのものではありません。ない能力があるかのように、本人や周囲が信じてしまうことが、その人から幸せを奪ってしまうのです。
手に入れることではなく、手放すことが幸せへにつながる。性格上の欠点を手放すというステップ6・7がテーマのミーティング中にそんなことを考えました。
02月07日(月)
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