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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■京都でのシンポジウムの感想
午前3時半に起床、それから車で京都まで移動し、ワンデーポート主催の「依存症を発達障害から考える」という講演とシンポジウムを聞いてきました。
前夜に寝たのが遅く、睡眠時間が2時間ちょっとだったので、きっと聴いている途中で居眠りしてしまうだろうと予想していたのですが、とても興味深くてまったく居眠りしませんでした。
まず前回の雑記で、「高機能自閉症とアスペルガー症候群の区別について...この二つを区別しない方向へ時代は動いている」と書きましたが、これには僕の誤解が含まれていたようです。
午後の部に京都大学の十一元三先生の講演があったのですが、自閉症スペクトラムの中の分類については専門家の中にも混乱があるとして、図にして説明がありました。記憶を頼りにその図を再現したのがこれです。
高機能自閉症とアスペルガー症候群は区別されるべきということです。高機能自閉症は知的障害がないカナータイプ(言語の遅れがある)。アスペルガー症候群は言語の遅れがないか、目立たなかったタイプ。アスペルガーとPDDNOSがDSM-Vで「自閉症スペクトラム障害」に統合される話とは別の話です。
今年の7月に、岩崎正人先生のギャンブル依存症に関する講演を聴きました。そのお話のなかの、典型的なギャンブル依存の姿とはこんな感じでした。
成人後にパチンコやスロットを始め、次第にそれにのめり込むようになる。結婚したときに奥さんの手前しばらく控えてみるものの、結局また手を出して元のもくあみ。やがて借金してギャンブルをするようになり、返済に困って借金が家族に発覚。家族や実家の父母の援助で借金を整理し、もう二度とギャンブルはしないと誓うものの、当然スリップしてまたまた借金が発覚。相談に来るまでに2〜3回借金の整理が繰り返されているのが普通。最初にギャンブルをやってから、10年〜20年ぐらい。仕事は(ギャンブルの問題さえなければ)ちゃんとできるタイプ。
これは、ギャンブル→アルコール、借金の整理→精神病院への入院、と置き換えて読んでみると、そのままアルコール依存症の典型例になります。
用事があって地元のGAグループに何度か出席させていただいたことがありますが、参加者の話を聞いていると、まさにこういうタイプの人がいます。アディクションの対象がアルコールや薬物ではなく、たまたまギャンブルだったという違いしかない人たちです。(アディクション型の人)。
酒やギャンブルの問題で仕事を失ったことはあるものの、そうしたトラブルが起きる前には仕事をちゃんとしていた時期があるし、回復途中でもなんとか収入のある仕事にありつけて、それを維持できている人がこのタイプには多いのです。
一方、京都でのシンポジウムで取り上げられた事例というのは、これとは違ったタイプです。
就労体験があまりないのが特徴です。高校や大学を卒業しても就職がうまくいかずに、家に引きこもってしまうとか。せっかくどこかで働けても、長続きしない。あるいは最初の仕事は長年うまくいっていたのが、ギャンブルが原因でその仕事を失ってしまうと、仕事そのものができなくなってしまうとか。
ギャンブルでトラブルを起こしていた期間も、それほど長くはなりません。ゲーム好きからパチンコやスロットに移行した人が多いのも特徴です。
発達障害が背景にあるケースです。
僕の考えではおそらくこうです。
アルコールにせよ、ギャンブルにせよ、本格的な重症の依存症者ができあがるまでには、10年、15年とトラブルを起こしながらも酒を飲み続け(ギャンブルをやり続け)る必要があります。もちろん比較的短期間で依存症者ができあがることもありますが、ある程度の時間は必要です。その間、アルコールやギャンブルを手に入れ続けるのに必要な収入が維持されなければなりません。これにはそれなりの能力が必要です。
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12月21日(火)
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