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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■AAとアラノンの関係
僕は海外でのAAミーティングに出たのは、台北のグループに行ったことがあるだけです。台湾はAAが盛んではなく、英語圏のAAメンバーが現地の人にAAを伝えている真っ最中で、グループも首都に一つ。地方に二つあるぐらい。ちょうど1970年代の日本のAAが、M神父とP神父の二人によって始まったばかり、という時代に似ています。
僕が参加したのは土曜日のミーティングでしたが、隣の部屋では家族の人たちがアラノンのミーティングをやっていました。それが終わると、本人も家族も一緒になって、近くの喫茶店でアフターミーティングを楽しんでいました。実際には喫煙室は本人たち、禁煙スペースは家族の人たちにほぼ分かれ、その間を小さな子供たちが行ったり来たり。
こうした光景は珍しいことではなく、世界中のAA(とアラノン)で行われています。ミーティングに一緒に出かけた夫婦が、一方がAAに、もう一方がアラノンに参加し、子供はグループがアルバイトで雇った child care に預けられ、ミーティングが終われば子供を引き取って帰って行く・・。それが当たり前であり、少々極論すれば、ある程度の大きさのAA共同体がある国で、それが実現していないのは日本だけと言ってもいいぐらいです(というか、グループが3つしかない台湾でさえ実現していることです)。
AAとアラノンは一緒にラウンドアップを開催したり、アラノンのオープンスピーカーズにAAメンバーが呼ばれてスピーチをすることも、当たり前のように行われています。
なぜ日本はこうなっていないのか。それは日本のAAとアラノンの仲が悪いからです。なぜ仲が悪くなったのかは、昔のことなので僕は詳しく知りません。僕がAAに来た頃は、もうすでにこの二つの団体は冷たい関係でした。
もちろんAAには12の伝統があり、その6番によって、他の団体と特別な関係になることを戒めています。つまり他の団体と提携したり、傘下に入ったり、傘下におさめたりということができません。けれど「アラノンだけは特別」なのです。それは、ビルとボブが作ったアルコホーリク本人の団体のAAと、ビルの妻のロイスが作った家族の団体という、密接な関係があり、同じ12のステップ、12の伝統という原理と価値観を共有しているからです。
もちろん伝統に従ってお互いの方針に口を挟んだりしないものの、このパートナーシップは世界的にも、歴史の上でも当然のこととされています。
AAにとってアラノンはunqiue(唯一無二)の相手だとされています(ガイドライン「AAとアラノンの関係」)。しかし日本のAAは、唯一無二のパートナーであるアラノンに対して、その他の多くの団体と同じ扱いをしてきました。例えてみれば、酒のせいで仲違いし別居している妻を、他人扱いしているダンナのようなものです。
例えば日本のAAは2000年に12ステップの文言の翻訳文を改定しました。これはビッグブックの翻訳改訂の一部として行われたことですが、日本に12ステップを広げたAAが、その文章を変えることは他の団体にも大きな影響を与えることでした。けれど、ゴーイング・マイ・ウェイな日本のAAは、そのことを外には相談しませんでした。だから「唯一無二の関係であるアラノンに対しても何の相談もなく、AAが勝手に物事を進めた」という悪い心証をアラノン側に与えたとしても不思議ではありません。
実は10年以上前になるのですが、アラノンが二つの団体に分裂してしまったことがあります。AAは家族からの問い合わせがあればアラノンの連絡先を伝えたり、AAの書籍にはアラノンのGSOの電話番号を載せていたわけです。けれど、アラノンが二つになったので困ってしまったのです。どちらか一方だけを選べば、他方を支持しないと表明したも同然。では両方掲載しようか、などと話し合ったあげく、結局AAの評議会で、どちらも掲載しないことになりました。
けれど何も載せないわけにはいきません。仕方なくアメリカのバージニア州にあるアラノンのWSOの連絡先を掲載してきました。日本の人に対して、バージニアの連絡先を教える・・・こんな不自然で不親切なことを、日本のAAは10年以上も続けてきてしまったのです。
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05月25日(火)
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