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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■35周年記念集会
AA日本の35周年記念集会に行ってきました。
長野を出発したのは6時半。途中でのんびりモーニングセットを食べたせいで、9時半の開始時間に間に合いませんでした。でもちゃんとご飯を食べるのは大事なことなのです。
いくつかの部屋で同時進行でミーティングが行われており、スポンサーシップについてのミーティングを聞くつもりでいました。事前に仲間から案内があり、以前ごく短期間スポンサーをお願いした仲間がスピーカーをやることが分かっていたので、それを聞こうと思ったのです。しかし遅刻したせいでその部屋は満席。12の概念の部屋も同様に満席だったので、「関係者との分かち合い」の部屋を選びました。空いている席に着いてみると、横が葛西先生。斜め後ろは岡崎先生でした(岡崎先生とは面識をいただいていませんが)。
アメリカのドクターの話、山梨の大河原先生の話。それから質疑応答。
ある病院がアルコールのデイケア・ナイトケアに患者を囲い込むようになったおかげで、その近辺のAAメンバーが減っているという話がありました。病院は送迎してくれるので患者も楽だし、福祉事務所のケースワーカーもそちらを使わせたくなってしまう、という事情があるのだそうです。ところがデイケア・ナイトケアというのは社会復帰用のリハビリとしてはいま一歩であり、経済的に自立させようとした途端に再発というのもありがちな話です。
アルコール依存症の治療が通院指向になり、また厚生労働省が精神科デイケアへの保険点数を手厚くしたおかげで、アルコールのデイケアが全国的に増えているのだそうです。患者の囲い込みはその地方だけの問題ではなく、全国的な現象というわけだ。しかし今後はそれも抑制傾向になるかもしれない、という話でした。
外部の環境の変化によってAAが増えたり減ったりするのは仕方ないことですが、あまりAA外部に原因を求めるべきではないと思います。患者さんがAAよりデイケアを選ぶのは、デイケアに魅力を感じるからでしょう。「回復」という点でAAに魅力を感じて貰えないことが問題なのです。AAの成長が語られるとき、それはメンバー数、グループ数、会場数などの量的拡大についてばかりです。量ではなく、質が語られねばならないはずなのに。
アメリカの都市部には、無料でドライアウト(アルコールの解毒)をやってくれる施設があるという話でした。期間は5日間程度で、解毒専門です。一方で、以前はたくさんあった長期治療施設(長期といっても3〜4週間だけど)は減っているそうです。これは3年前のホワイト先生のワークショップで語られていたことと同じです。アメリカ社会のアルコホリズムに対する態度が変化していることが背景にあり、依存症を病気として治療するよりも、道徳的な問題として懲罰の対象にしようとする潮流があるわけです。
たまたま隣に座っていた仲間が「リカバリーパレード」のチラシを持っていました。アメリカではそうした傾向を反転させようと「回復擁護運動」が活動しています。リカバリーパレードはその日本への波及で、
「アディクションや心の病などに対する社会の偏見を取り除くのは回復者自身の責任である」
というホワイト先生の言葉をスローガンとして、今年の秋に東京で回復者の祭典(パレードなど)を行い、回復可能な病気であることを社会にアピールする企画です。
さて、お昼に昼食難民になっていたら、東京代々木のグループの面々が通りかかったので、くっついていって一緒に食事をさせてもらいました。このグループの雰囲気は他では得がたいもので、僕は「東京で出席するのにお勧めの会場はありますか?」と聞かれたときに、迷わずお勧めする会場の一つです。東京神奈川県境で新しくグループを作った仲間に近況を聞かせてもらうこともできました。
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03月14日(日)
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