ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■翻訳企画:AAの回復率(その5)
現在では、彼らの始めた組織は、国内に2,400の支部と85,000人の会員を抱えている。メンバーはすべてアルコホーリクで、彼らにとって毒である物質を遠ざけるようにお互いに助け合い、懸命に戦っている。メンバーの多くはAAメンバーになって以来一滴も飲んでいない。他の者は時に再飲酒したが、彼らも組織に戻って戦いを続けてきた。以前のメンバーの中には、絶え間ない酔っ払いに戻ってしまった者もいる。しかし、アルコホーリクス・アノニマスのメンバーの75%は断酒を達成しており、この国のアルコホーリクのリハビリテーションの歴史の中で、最も幅広い成功を実現した試みであると広く認められている。
その人の断酒がもう何年にもわたって続いてきたものだとしても、今日断酒していた者が明日には酔っ払っているかもしれないのであるから、「成功」の統計は信頼できるものではない(強調追加)。ではあるものの、医師、科学者、ソーシャルワーカー、聖職者、公衆衛生の専門家、悩める家族、さらにアルコホーリクに関わらざるを得ない者たちが、AAの成功を驚きの目で見つめてきたのである」
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Surveyの記事が「「成功」の統計は信頼できるものではない」と述べているのに注目して欲しい。成功率の数字には限定条件が付けられていない。ではあるが、当時アルコホーリクについて注目に値する成功率を主張していたのはAAだけではない。1949年のSurveyの記事では、その著者がYale Plan Clinicsについてこうコメントしている。
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Yale Plan Clinicでは当初から診断が主要な関心事だった。しかしながらまもなく、他のコミュニティ・サービスで提供されていない治療を必要とするケースでは、診断のすぐ後に治療と指導が続かなければ、診断が意味を持たないことを経験が教えてくれた。クリニックは開設以来1,100人のアルコホーリクを引き受けてきたが、その60%は完全な断酒を達成するか、飲酒と飲酒の間隔が明らかに長くなっている。日常的にクリニックとアルコホーリクス・アノニマスとの間で相互に紹介が行われており、クリニックがAAから患者を引き受け、また逆に共同体プログラムから助けを得られそうな患者にはクリニックがAAを薦めている。多くの人がクリニックの患者でありつつ、活動的なAAメンバーとなっている。
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Surveyの記事は、AAの創始者が主張した印象的な成功率とほぼ同じことを述べている。
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Edward J McGoldrick Jr,は、ニューヨーク市福祉局が設置したアルコール治療所の責任者である。彼はアルコホーリクの治療者としては個性的で、アルコホリズムが疾病であるという理論を拒絶している。
Bridge Houseの治療者はすべてMcGoldrickの手法によってリハビリを受けたかつてのアルコホーリクである。この手法はアルコホーリクス・アノニマスの手順とは異なっているが、アルコホーリクとして「底をついた」人たちは他のアルコホーリクを効果的に手助けできる理論という彼の理論に基づいている。
McGoldrick氏は一般大衆に向けてアルコホリズムが病気であると呼ぶことに反対している。それはアルコホーリクに弱さと無力感を与え、飲み続ける口実を授けることになってしまう。また彼は強制された治療も、それが改心するのに必要な肯定的な意志の素材を無視しているがために役に立たたない、と反対している。Bridge Houseはたった20床であるが、入院・外来をあわせて年間350人のアルコホーリクを迎えている。McGoldrick氏による1年間の完全な断酒を基準とした成功率は66%となっている。これは良い数字だが、ニューヨーク市にはまだBridge Houseに着いていない20,000人ほどのアルコホーリクがおり、またどの都市であれ女性のアルコホーリクに影響を及ぼすには至っていない。ではあるものの、これは全国からの注目を受けているプロジェクトである。
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(続きます)
01月29日(木)
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