ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■翻訳企画:AAの回復率(その3)
1ヶ月目の19%は、一部の人が主張するように「81%(すなわち100%-19%)が最初の1ヶ月で脱落する」ことを意味するのではない。
3ヶ月目の10%は、「90%(すなわち100%-10%)が最初の3ヶ月で脱落する」ことを意味するのではない。
12ヶ月目の5%は、「95%(すなわち100%-5%)が最初の1年のうちにミーティングへの積極的な参加をやめてしまう」ことを意味するのではない。

そうではなく、このデータが示すのは、調査の時点で最初のAAミーティング出席から1年未満の人が100人いたとして:
19% の人が、1ヶ月目である。
13% の人が、2ヶ月目である。
9% の人が、4ヶ月目である。
7% の人が、6ヶ月目である。
6% の人が、8ヶ月目である・・・などなどである。

すべての数字に正規化係数(この場合は5.25)をかけることで100%から開始することができ、保持率について合理的な推測を得ることができる。表1の「1ヶ月目開始」の列はニューカマーの最初からの保持率を示すために正規化されている。「4ヶ月目開始」の列は推奨される90日間の導入期間を経過した以降の保持率を示すために正規化されている。

・表1が実際に示すところによれば、3ヶ月を越えてAAに留まった人の56%は1年間経ってもAAの中で依然として活動的である。その他の回の調査では1年後の保持率はこれよりやや良い数字が出ている。

・データを解釈する上でもうひとつ考慮すべきことは、AAミーティングに出席するのはアルコホーリクに限らないことだ。

ある人たちは、家族、職場、司法制度、治療施設、友人、もしくはAAメンバーから後押しされてミーティングに何回かやってくる。その中には、助けが必要だと信じるにはまだ「十分にアルコホーリク」になっていない人たちもいる。それに加えて、現在のAAには飲酒経験のない薬物依存症者が来ることも珍しくない。そうした人たちも、調査の時にミーティングに出席していれば数に数えられる。その中にアルコホーリクス・アノニマスに一度接触しただけで留まらない人がいるのは当然である。

初期のAAメンバー調査における無作為性の特徴として、サンプル抽出の手法の問題が挙げられる。当時は地域評議員が地域内で調査するグループを決定していた。そのグループ選択によっては、調査結果に偏りが生じた可能性がある。しかしながら、アメリカ・カナダには十分な数の地域があるため、最終結果に大きな影響を及ぼすことはなかったと考えられる。

後に、調査するグループはAAWS/GSOに登録されたグループのリストから無作為に抽出されるようになった。この手法でも、もし登録をしないグループに出席する人たちに一定の傾向があるとすれば、サンプルの意図しない偏りを生む可能性はある。アメリカ・カナダでは非常に多くのグループが登録をしていない。

以下のグラフと表は1968年から2007年のメンバー調査の結果を反映している。それらについての分析と解説では、調査データの推定についてより正確で適切な解釈を提供する。

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(続きます)

01月26日(月)
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