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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■翻訳企画:AAの回復率(その3)
本論のd) 節は題名を「AAの50%+25%の成功率の起源と引用の時系列」で、この50%+25%の成功率についての歴史と、それを解釈するための正しい背景条件を明らかにしている。
昔から言われている「50%+25%の成功率」は、ビッグブック第2版の「再版にあたって」に「AAに加わって真剣に努力して取り組んだ人の半数は、すぐに飲酒がやめられて、飲まない生活を続けることができた。何度か再飲酒をしたがやめられた人は二十五パーセント」とある 5。調査による最初の1年間の保持率のデータは、この「50%+25%の成功率」を否定するものではない。
5. ビッグブック p.xxv(25)
最初の数週間か数ヶ月の間に、新しい人たちは二つの質問に自ら答えを出すことになる。(1)自分はアルコホーリクか? (2)私は真剣に努力して取り組んでいるか? 多くの人たちは自分がアルコホーリクなのかどうか確かめるためにAAにやってくる。ある人たちにとってその答えは明確であり、難しいものではない。しかし一方で、しばらく思い悩む人たちもいる。
AAメンバーの中には、「あなたがアルコホーリクでなければここに来ているはずはない」というレトリックを使って新しい人に印象を与えようとする人もいる。とは言うものの、AAでは一人ひとりが自分で診断を下すことになる。新しい人たちが「アルコホーリクであること」の意味を理解し、情報にもとづいた決断が下せるように、彼らが十分長くAAに留まることが望ましい。
ミーティングへの参加はAAで回復するための絶対条件ではないが、ミーティングは確実に回復の助けになるものだ。隔絶された場所に住むメンバーたちは、ビッグブックその他の書籍だけを頼りにやっていくしかない。近くにAAミーティングのない人たちは、他のアルコホーリクと一対一で関わることになる。しかし、そうしたケースはまれであり、調査のデータを理解する上では、最初の数ヶ月のうちにミーティングにくるのをやめた人たちは「真剣に努力して取り組んで」はいないと推定される。
1990年のGSO内部レポートの図C-1にメモ書きされた「5回の調査の平均」を下の表1に示す。各列は「月」と「分配%」である。グラフ1に描くに当たって、保持率(もしくは消耗率)のカーブを分かりやすくするために正規化を行っている。
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グラフ1:1977〜89年調査に見る最初の1年の保持率
“Distribution”(分配)は最初の1年の新しいメンバーのうち該当経過月の人の%数
その他の曲線は、月ごとの保持率を示す。
例:3ヶ月目のメンバーの50%は1年経過時にも残っている。
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注記:
・「分配%」は、オリジナルの「図C-1」グラフのもの。
・四捨五入されない「分配%」の合計は(103%ではなく)100%になる。
・「分配%」の数を開始月に従って「正規化」してある。
・得られた曲線は「特定の月」以降の保持率を示す。
元のグラフC-1のデータは、しばしば誤解され間違って伝えられているが、保持率のパーセンテージではない。その理由は
・3年ごとの調査はその時点でのスナップショットを得る断面調査(cross-sectional study)である。毎月同じ人数の新しい人が最初のミーティングに参加してくることを前提にしている。それは調査の時点で最初の1ヶ月を過ごしている人が何人いるかである。
・調査の時点での2ヶ月目の人数と1ヶ月目の人数の比率を計算すると、それが1ヶ月目と2ヶ月目の間の保持率となる。同じ手法で、任意の二つの月の間の保持率を計算できる。もし12ヶ月にわたって誰もかけることなく完全無欠に維持されれば(100%)、最初の1年の人々は12ヶ月それぞれに8.3%ずつ分配されるはずだ。もちろん現実にそんなことはありえないが、これは保持率の計算がどのように行われるか示してくれる。
実際のデータが示すのは:
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01月26日(月)
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