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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■チャーリー・Pについて
12ステップをやる上で、ACかつアルコホーリクという人を、ACでないアルコホーリクと区別して扱う必要があるのか、という問題は繰り返し提起されてきました。少なくとも、ジョー・マキューも、チャーリー・Pも、「区別して扱う必要はない」という立場を取っています。
アメリカのAAメンバーで親もアルコホーリクという人の割合がどれぐらいなのか、統計は見たことがありません。しかしGrapevine誌を読んでいれば、そういう人の話がごく当たり前に載っています。じっちゃんから3代続けてAAメンバーなんて話も決して珍しいものではありません。アメリカにもACであるAAメンバーはたくさんいます。
長年AAメンバーとして活躍し、なおかつ施設のスタッフとして多くのアルコホーリクの回復を手助けしたジョーとチャーリーが、特別扱いの必要を感じなかったことを僕は重視しています。
例えば、「ならば子供の頃に親から受けた虐待についての恨みはどう棚卸しするのだ?」という質問は定番のものですが、子供の頃に親から受けた暴力について子供の責任を問うことはしません。しかし、恨みを抱えているのは現在は大人なのですから、大人として自分の考えや行動に責任は持たねばなりません。その点から見れば自分の落ち度や欠点は必ず見つかります。棚卸しや埋め合わせにおいて、特別扱いする必要はありません。
それは12ステップでトラウマのケアができるという意味ではありません。ジョーとチャーリーの著作でも専門家の手助けの必要性に言及があります。日本にトラウマケアの専門家が少ないのは残念なことですが(それは日本が平和で兵士のトラウマケアが要らないからですが)、日本でも探せば専門家はいます。しかし探すことすらせずに、近所の医者にかかっているだけの人は多いのです。
恨みには「私がこうなってしまったのは、私のせいではないのだから、私以外の誰かがこの問題を解決すべきだ」と私たちに感じさせる性質があります。でも代わりに解決できる人はいません。恨みが解決へむけての行動を起こす障害になっています。だから虐待への恨みを特別扱いしてしまうと、かえってその問題が解決できなくなってしまうのだと考えています。(特別扱いは回復の足を引っ張り酒を飲ませる方に働いてしまう)。
話がチャーリーからそれたので、元に戻します。チャーリーは、ビッグブック(英語版)初版のカバーを復刻して、ビッグブック・スタディの会場で1枚1ドルで売るというお茶目な面もあったそうです。(初版のカバーは赤と黄色と黒でデザインされたとても目立つものでした)。
ジョーとチャーリーが各地でおこなったビッグブック・スタディは、「ローカルなAAミーティングに出ていただけでは得られない経験と知識を運んでくれた」と評価されているそうです。
チャーリーが亡くなったのは、2011年4月21日。82才でした。51年あまりのソブラエティでした。ジョー・マキューが亡くなったのが2007年ですから、チャーリーのほうが4年ほど長生きしました。
これが「私のヒーロー」とジョー・マキューが呼んだ人物についての僕の知る限りの情報です。
05月26日(日)
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