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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■高橋会長の思い出
それからは僕の関わる別の団体のセミナー関係でお世話になり、年に何度かは例会に出席するようになりました。いつ行っても盛会で、会の運営もいろいろ勉強になりました。

過去には会長が会を割って出たことに対して他の会から非難もあったそうですが、やがては推されて県断連の会長も務めたと聞いています。それを降りた後に、新聞記事にもなった金銭トラブルが起き、事態の収拾のために再び会長に推されました。警察との折衝など、かなりお疲れの様子がうかがえ、心配したものです。

会長がガンで入院して、余命に限りありと聞いたときは残念でした。幸い定期的に退院して家に戻ると知り(それがさらに命の限りを感じさせるわけですが)、僕らのホームグループのミーティングに会長ご夫妻をお招きして、1時間ほど話を伺う機会を作りました。(奥様の話のほうが人気?でしたけど)。

その後で質疑応答みたいな時間を設けたのですが、メンバーの一人が「アル中に接するときに気をつけていることは」と聞いたところ、「相手が酒をやめていることに尊敬の気持ちを持つことだ」という答えでした。相手が一日しか酒をやめていなくても、その努力を認めてやり、敬意を持てば、それは必ず相手に伝わる、という話でした。

口ではどんな厳しいことを言っていても、心の中で相手を努力を尊重する気持ちは、必ず相手に伝わる(ただし、伝わるのにずいぶん時間がかかることもあるが)というのは、僕も同じ気持ちです。

会長が表彰を受けたという話は僕も喜びました。
http://www.ieji.org/dilemma/2011/12/post-374.html

ある医師が、僕の最近の活動を評して「高橋会長の若い頃に似ている」と言ったと伝え聞いたときは、正直嬉しかった。偉大な先輩に例えられるのは悪くない気分です。ただ、正直、あそこまでのことはできない、とも思いますが。

病院にお見舞いに行けたのはつい先頃でした。すでに認知症が進んでいて、僕のことは憶えてらっしゃらいませんでした。共通の知人(他の断酒会の会長さんとか)の話をしましたが、その人たちもすでに故人です。お別れ会には多くの人が集まったと聞いていますが、僕は出張で行けず、スポンシーに香典を持たせただけでした。

十数年前、断酒会は活発でした。会の支部ができ、その支部が独立して一つの会になり、またその支部が出来る・・と広がっていきました。現在では残念なことに高齢化が進み、後継者不足が深刻だそうです。すでに活動をやめ休会になったところもあります。でもそのぶんのアルコホーリクをAAが吸収できているわけではありません。難しい時代になったものだと思います。

下手に墓参りになど行こうものなら、そんな時間があったら生きている人間のために何かやれ、とあの世から叱られそうな気がします。あと人間にはロールモデルが必要なんだということね。

11月26日(月)
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