ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■目標値(日本のAAメンバー数)
さて日本です。厚生労働省の調査班が2004年に発表した調査では、日本のアルコール依存症の有病率は0.9%(男性1.9%、女性0.1%)。基準はIDC-10だから、DSM-IVとそんなに違わないでしょう。そして、日本におけるアルコール依存症者の数を80万人と見積もっています。
北米 34000 : 日本 800 (単位:千人)
42.5倍だ。
母数が42.5倍違うので、138万人を42.5で割った結果が3.2万人。日本のAAは、とりあえず3万2千人のメンバー数を目標にすればいいんじゃないかというお話。まあ、途中の計算が相当いいかげんなので、話半分に聞いて欲しいのですが。
さて、アメリカのAAですら、3千4百万人のアルコール依存症者のうち138万人しか「惹きつけて」いないのです。全アルコホーリックの4%にすぎません。アメリカのAAは良い結果を出していますが、それでも「この問題のほんの上っ面をかすめたにすぎない」(p.29)のです。
それでもアメリカのAAは健闘していると言えます。
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/data/newsletter/s09.pdf
に、ヴァリアント博士の話が載っていますが、アメリカにおけるアルコール依存症からの回復例の4割がAAを通じてのものだそうです。残りの6割のかなりの部分は回復施設を通じてのもので、施設の多くは12ステップをプログラムに取り入れています(もちろんそうじゃないところもある)。
日本に比べて何十倍もアルコホーリックが多く、しかもその1割しか酒をやめない、前の論文によれば治療を受けたことのある人も全体の1/4に過ぎない、それがアメリカの現実です。かくも彼の国の酒の害は深刻なのです。だからこそ、政府が施設に税金を投入して回復プログラムが進歩するし、優秀な頭脳が集まります。また、税金を投入しなくても良いAAは重宝がられます。(自助グループには公的機関の手が回らない部分を引き受けている側面がありますから、自助グループが盛んになれば政府の支出は減ります)。
アメリカのアディクション治療は日本より何十年も先を行っている、と言われますが、あちらには真剣に取り組まざるを得ない社会背景があってこそです。とは言うものの、日本にだって、まだ何十万人も未治療、未回復の人がいることも事実です。日本でも80万人のうち、4%ぐらいをAAが引き受けて、3万2千人のメンバー数、というのもあり得ない数じゃないと思いますよ。
ま、そういった数値目標がAAに相応しいかどうかはともかく。
10月09日(火)
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