ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■「これにしか使えない」の大切さ(その1)
僕はグリーフケアにはほとんど関心を持っていなかったため、この悲嘆段階説が疑問視されていることや、「正常な」悲嘆にある人に対する専門家のサポートは効果がないか、あるいはあってもごく僅かであるというエビデンスが出てきているとは知りませんでした。自死遺族会などでは悲嘆段階説とは異なる思想を持っており、悲嘆のどこかの段階にとどまることを否定的に捉えたり、死者への愛着を手放す論理に対して反論があるといいます。

もちろん悲嘆が長く続くために社会生活に支障を来している人はいるでしょう。しかしそうしたいわば「異常な」悲嘆へのケアとして有効だったグリーフワークを、自殺予防対策の名の下に自死の遺族への事後対応として専門家が無批判に採用してしまったことが、グリーフワークの評価を引き下げてしまったと言えます。

このように、何らかの治療論・援助論があったとき、それがどの範囲に有効で、逆にどの範囲には有効でないかを示すことが大切だと思います。「何にでも使える」「これを使えばどんな人でも良くなる」という話ほど怪しいものはないわけです。

ひるがえって、AAのことを考えてみます。

(続く)

11月22日(火)
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