ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■処方薬への依存について(その2)常用量依存
少し話がそれるのですが、WISC-IIIという知能検査があります。このIQの数値は、言語性(VIQ)と動作性(PIQ)に分けられますが、それぞれにさらに下位項目があります。人によってIQは高い・低いの違いがあるのは当然ですが、VIQ・PIQも下位項目もそれなりにバランスが取れているのが普通です。グラフを描くとほぼフラットになります。ところが発達障害の人の場合、このバランスが崩れしばしば凸凹が出現します。認知機能や処理能力にバラツキがあることがわかるわけです。

ところで、定型発達の人でもベンゾジアゼピン系の薬を飲んでいると、この凸凹が出現することが知られています。おかげで薬を飲んでいると、凸凹が薬のせいなのか発達障害のせいか、これだけでは判断できなくなってしまいます。このことは、薬が認知機能や処理能力に影響を与えることを示しています。

睡眠薬や抗不安剤を飲んでしばらくは、昼間もふらつきやめまいを感じた人は多いと思います。これは反射的な運動機能に影響しているわけです。しばらくするとめまいを感じなくなるのは、耐性が形成されたためです。前述の認知機能についても、耐性の形成により影響がなくなるのじゃないか、と期待されたわけですが、影響は長期的に残ります。

ベンゾジアゼピン系を飲んでいる人は、飲んだのが前夜ですでに作用がきれていても、昼間からどよよーん、ぼややーんとしたぼやけた印象を与えることが多いものです。これは認知機能や処理能力の低下が現れたものでしょう。だからわざわざ聞かなくても薬を飲んでいることは分かります。

もう一つは不安に対して不安剤として使っている場合です。長期服用者の場合、断薬することでむしろ不安が軽減することは珍しくありません。服薬のメリットよりデメリットのほうが大きくなっているわけです。また、注意力や集中力が断薬によって向上するという報告もあります。

すでに元の症状は寛解しているにもかかわらず、断薬による反跳や離脱症状を避けようと服薬を続け、それによって様々なデメリットを被っていることがわかります。これが常用量依存のデメリットです。

もちろん薬を飲み続けることが必要な人もいますから、飲むこと・やめること、それぞれのメリット・デメリットを考える必要があります。

(続く)

11月06日(日)
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