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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■関東滞在三日間
さらに翌日日曜日は、横浜に移動してワンデーポートの10周年イベントへ。施設長の中村さんの話によれば、最初はギャンブル乱用をもっぱらアディクションと捉えてアプローチしていたのだそうです。だから「退所後にGAに通わない回復があるとは夢にも思わなかった」そうです。すべてのギャンブル乱用を「ギャンブル依存症」としか捉えれば、当然そのようになります。
乱用の原因が依存症である人もいるのですが、発達障害が原因である人も、精神障害や知的障害が原因である人もいます。その人たち全員に、ミーティングだステップだという画一的なアディクションとしての対応をするのではなく、アセスメントの上で個別の対応を取るように変わっていけたのがワンデーポート成功の要因でしょう。
退所者の経験談でも、アディクションタイプの人と、発達障害タイプの人の両方の話がありました。
こうして考えると、ギャンブル乱用をすべて「ギャンブル依存症」と呼んでしまうのははばかられます。「ギャンブル乱用」あるいは「ギャンブル問題」という呼称のほうが好ましいのでしょう。
同じ構図は(ギャンブル依存だけでなく)アルコールや薬物にも当てはまります。おそらくはACや感情や摂食障害の問題にも当てはまるのだと思われます。
会場で最近知り合いになった人にに、「昨日おとといとアルコールや薬物の人の多いイベントにいたのですが、この会場のギャンブルの人たちは顔つきが違いますね」という話をしました。僕は、薬物(アルコールも含む)で内臓や脳がやられていないぶんだけ、ギャンブルの人の方が顔色が健康だ、という話をしたのですが、相手の答えは、
「だからこそ、発達障害の問題に気づけたのかも知れない」
というものでした。アルコールを含む薬物の脳や内臓へのダメージは大きく、断酒・断薬後も長年影響が残ります(僕もその例外ではない)。だから、発達障害的な言動が現れていたとしても「酒の影響」で片づけられてしまって、背後に存在する問題に気づけなかったのではないか、というものです。
ところで、なぜ施設の周年記念イベントに、音楽演奏や落語のプログラムが混じっているんだろう? と疑問に思っていたのですが、それは回復には趣味や生きがい、笑いが大事であるという施設長のコンセプトの反映だそうです。
おかげで20年ぶりに生の落語を聞きました(井戸の茶碗)。素人の話を金を払って聞き、玄人の話をタダで聞いた3日間でした。
02月14日(月)
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