ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■新しい依存症治療
・・・そんな話を聞いていて思い出したのは、以前に発達障害児(含む被虐待)のケアの本に書いてあった、「良いことをしたら褒める、悪いことをしたら無視」という対応の基本です。発達障害児は(児に限らず大人も)障害を乗り越える動機や方向付けがハッキリしている訳じゃありません。そこでメリット・デメリットによって誘導する、ということになっちゃうのでしょう。それは、薬や酒をやめたい動機が薄い依存症者や、自覚のないDV男にも当てはまるというわけです。ようするに子供扱いか(犬猫のしつけだったりして)。
類似点は他にもあります。例えばシール。子供のケアの場合には、決まった日課をこなせたらシールをあげます。シールがたまると映画やおもちゃのご褒美がもらえる仕組みです。これをトークンエコノミーと呼びます。アルコールや薬物の治療でも、診察に来たらシールをもらえ、それがたまると何らかのご褒美がもらえるトークンエコノミーを採用しているのだとか。
(AAミーティングに行くとハンコがもらえ、ハンコがたまると福祉事務所から来月お金が支給される・・てのは違うのか)
こんなふうに、発達障害児(者)のケア、DV男のセラピー、薬物依存症の治療導入、の三つで同じ技法が使われているということに気がつきました。倫理に訴えたり、道徳を教えるのではなく、利益によって誘導するのは、ちょっと虚しい気もしますが、方法を選んでいられないほど現場は切迫しているということなのでしょう。
座長の先生は「いろんな方法が増えることは良いことです」とまとめていました。
ただ、講師の先生が moderate base の治療をする根拠として、コカインやヘロインの使用者には適正使用者(軽症例)もいるエビデンスがあると強調していましたが、実際話に出てくるアルコールや薬物の話は断酒・断薬が必要な重症の話ばっかりだったので、そこがごっちゃになっていたところが気にかかりました。
07月06日(火)
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