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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■AAとアラノンの関係
しかし、時を経てアラノンは再び一つの団体に戻りました。騒ぎも過去のこととなり、AAの書籍にアラノンGSOの連絡先を掲載する、という議題が提出されたとき、この問題に関心があるメンバーは、議案はすんなり承認されるだろう、と予想しました。

・・がしかし、そうはなりませんでした。30人で協議する全国評議会では結論が出ずに、常任理事会に委ねられ、理事会では1回の議論であっさり否決されてしまいました。今後ともAAの書籍はバージニアのアラノンを紹介し続けていくことになったわけです。

なんだそれ?

僕は評議会には行っていませんし、理事会へは参加資格がありません。だからその場の議論の内容は知りませんが、報告書などでその話を探ると、どうやら(日本の)アラノンがアルコールだけでなく薬物の問題も扱っていることが問題にされたようです。つまり、AAはアルコールだけなのに、アラノンはアルコールと薬物となると、バランスが取れない。パートナーとしてふさわしくない、というわけだ。

確かにAAはアルコールだけという縛りがあります。各グループやメンバーがそこから逸脱するのは勝手ですが、団体としてはそれは守っていかねばなりません。けれど、アラノン側から「AAも薬物を扱ったらどうですか」と言ってきたわけではなく、それはアラノンの事情であってAAには無関係のことです。

そりゃ薬物うんぬんも大事ですが、それは相手のことです。それよりもっと大事なことは、自分たちがどうあるべきか、ということのはずです。

日本のAAメンバーにアラノンとの関係の話を振ってみても、そもそも「AAとアラノンの特別な関係」を知らず、AAにとってアラノンもその他大勢の団体の一つに過ぎないと思っている人が多いのです。これは長い不幸な歴史がそうさせてしまったのでしょう。一方、数は少ないものの、アラノンに関心のある人の口から出てくるのは「アラノンのここが気に入らない」という話です。それはわからなくもない。僕だってそういう気持ちになることもあります。けれど、関係改善を目指すのなら、そんなことを言っていても始まりません。

僕はスポンサーという立場になったり、ソーバーも少し長くなって「先ゆく仲間」として相談を受けることがあり、その中には夫婦仲が悪いという相談もあります。夫婦仲が悪いときは、ダンナの側は「妻の態度が悪い。妻のあそこがここが気に入らない」という話をするものです(逆も真ですけど)。僕も男なので、その立場に同調できなくもありません。けれど、相手の気に入らない点をあげつらって非難していたのでは、夫婦仲の改善が見込めないのは明らかです。相手をそういう態度にさせているのは、自分の態度が悪いからではないか、という観点で自分をチェックし、「自分の」落ち度を正していくしかありません。「自分の側の掃除をする」というのが、AAのステップなのですから。

これと同じことを、AAとアラノンの関係に当てはめてみれば、どうすればいいかは自ずと明らかです。「アラノンは薬物がうんぬん」とぶつぶつ言っているのは、AAの側のみっともない言い訳でしかありません。まずAAの側で、正すべきことがあるはずです。

「変えられるのは自分だけ」とか「自分の側を掃除する」という言葉は、AAにいれば耳タコで聞かされる話です。

どういう判断が下されるべきだったか、ステップを基盤に考えれば導かれる結論はひとつしかない。そう思うのですが・・・。

05月25日(火)
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