ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
[984924hit]
■炭を焼く人
誰に言うでもなく老人がつぶやいた。私は茶の礼を言い、奥様がくれると言った野菜を固辞して車に乗り込んだ。五月の空に、炭焼きのかすかな煙が上っていた。
・・・
今日の夕方、面倒なお客さんからの問い合わせの電話を上司がさばいていました。ちょうどそのころ、僕はまっさらなコンパクトフラッシュカードにOSをインストールする作業をしていました。MBRにブートコードが書かれていないのが問題で、悪いことにKNOPPIXもsyslinuxも歯が立ちません。
僕は早く作業を切り上げて、たまには峠の向こうのAA会場に行こうと思っていました。一方で、今日は技術担当者が僕しかおらず、僕が帰ってしまうと上司が孤立無援になることも心配していました。これが毎週出ている会場だったら、とっとと帰るんですけどね。そうするためには、それ以外の日が大事ですから。
ちょうどDOSのFDISKを使うとうまくいくことを確認し、上司を見捨てることを決意した僕は、すこし緊張感が薄れていました。
さあ、これが終われば Windows を起動して、タイムカードをついて逃げ出せる・・・と思ったのですが、なぜかパソコンの真っ暗な画面に
Missing Operating System
の文字が・・。あああ、間違ってハードディスクの Windows を削除してしまったようです。
パソコンが動かなければ何の気晴らしもない仕事場で、ひとりぼっちで Windows のインストールをしながら、気の向くままに想像(妄想とも言う)を巡らせた結果できたのが、今日の話です。だから炭焼きの青年も老夫婦も、僕の頭の中にかしかいんです。つまらないフィクションでごめんなさい。
05月22日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る